五輪1年延期で考える代表内定選手の処遇問題 4年かけた努力「幻の代表」を生まないために

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なるべく早く決めないといけないのは、東京オリンピックの代表に決定、内定していた選手たちの処遇だ。東京オリンピック代表のうち、今のところ104人が、パラリンピック代表は46人が決定、内定している。

延期決定の翌日、3月25日にいち早く声を上げたのが日本陸連の瀬古利彦・マラソン強化戦略プロジェクトリーダー。男女6人の代表が決定しているが「変更しない」と明言した。

瀬古リーダーは、現役最盛期で迎えるはずだった1980年モスクワ大会を日本が旧ソ連のアフガニスタン侵攻を理由にボイコットしたため「幻の代表」となった経験がある。今回と経緯は違うが「幻の代表」の気持ちをわかる数少ない人の1人だからこその素早い反応だった。「アスリート・ファースト」という言葉を簡単に使っている方もいるが、瀬古リーダーの明言は見本といっていい。

マラソンのように「代表選考会」の形で一発勝負、またはそれに近い選考会を勝って代表になった選手たちは、マラソンに限らず、すぐに「代表変更なし」と決定したほうがいいと思う。こうした選手は「○月○日」にピークを持ってこられる選手だからだ。

代表をどう決めるのか

代表選考に当たっては、世界各地での指定された大会の成績からポイントを積み重ねて決める競技、種目もある。その中で、日本卓球協会は3月25日に、決定していた男女6人の代表変更はせず、再選考しないと決めた。この選考法でも4年かけて実績を積んだ結果。1年で崩れる可能性は低い。

1年後になることで「そのときにもっと強い選手が出てくるかもしれない」という期待感は当然あるだろう。ただ、これまでもオリンピック前年の世界選手権でメダルをとったらなど、1年前に決めるケースは多々あった。今回も、そう思えば難しいことではないだろう。

代表が決まっていない競技、種目については、スケジュールをそのまま1年後ろ倒しで済むのだが、新型コロナウイルスの感染拡大次第だ。時間ができたことは確かだ。

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