スズキ「ドル箱のインド」でコロナ拡大の懸念

13億人が外出禁止に、医療体制にも不安

インドの市街を走るスズキ車。現地では4割超のシェアを誇る(編集部撮影)

新型コロナウイルスの猛威が世界各地に広がる中、13億人の人口を抱えるインドも混乱に見舞われている。インド政府は3月25日、感染防止策として同日から3週間の間、すべての地区で移動を禁じる全土封鎖に踏み切った。感染者が確認されたデリーなど75地区をすでに封鎖していたが、対象を全土にまで拡大したものだ。

こうした非常事態下、現地で活動する日系企業も事業に大きな支障が出始めている。中でも軽自動車のスズキはインド事業が経営の大黒柱だけに、現地の社会・経済混乱で被る影響は甚大だ。

インド政府の公式発表によると、3月24日時点で確認されている感染者数は550人、死者は9人。感染者拡大を食い止めるため、政府が企業にも活動自粛を要請したのを受け、スズキは現地での事業活動を休止した。

具体的には、インドでの製造・販売を担う中核子会社のマルチスズキが、オフィス業務や生産を一時停止。同社は首都デリーに近いハリヤナ州のグルガオンとマネサールに生産拠点があるが、すべての工場を止めた。現時点では再開時期も未定だ。また、インド西部に拠点がある生産子会社のスズキ・モーター・グジャラート(SMG)も工場稼働を休止した。

インドでの販売シェアは4割以上

経済成長を背景にインドの新車市場は右肩上がりで成長し、2018年には過去最高となる年間339万台(乗用車のみで商用車含まず)を記録。台数だけで見れば、一国としては中国、アメリカ、日本に続く世界4位の市場となった。

そのインドで圧倒的な存在感を誇るのがスズキだ。40年近く前に進出した歴史があり、市場規模が大きくなった現在でも乗用車で4割以上の販売シェアを誇る。ライバルは韓国の現代自動車グループや現地企業のマヒンドラ、タタなどだが、2位の現代自動車グループでもシェアは1割台にすぎず、スズキの存在感はず抜けている。

スズキの経営において、今やインドでの事業は国内と並ぶ大黒柱だ。2018年度の現地販売台数は175万台で、国内販売実績(72.5万台)の2.5倍。インドの販売車種は金額が低いが、それでも台数が多いため、同年度のインド売上高は国内の4輪事業と同じ1.2兆円に上った。

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