人事視点で考えるコロナ影響下での「就活戦略」 経営判断による採用削減や水面下選考増える

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特にリーマンショックの経験を経た企業は、そのときの体験を活かし、同じような状況になった時に備えて、ある程度の準備をしていたり、危機の乗り越え方のノウハウを持っていたりします。

企業によっては、この状況が逆にチャンスとなって、今後の業績を伸ばすきっかけをつかんでいる場合もあります。大手企業と比べ、意思決定が早く、スピーディーに動くことができる中小企業は、チャンスの場を早くつかみとることができることもあるのです。

重要なのは、そういった企業の情報を多く掴んでいるかです。大手企業や有名企業ばかりに目を向けていては、そのような優良な中小企業の情報が手に入ることは難しいでしょう。

冒頭で、新卒採用において積極路線に向かっている企業もあるということを書きましたが、他社が弱気になっている今こそ、通常では獲得できないいい人材を獲得するチャンスだと、息巻いている企業も多くあります。しかも、こういう状況下の中で積極路線に行けるということは、相応の経営基盤や、企業としての強みを持っているということです。

そうした企業がなぜ今、積極路線に行けるのかという点に注目して、より企業を調べてみるのもいいでしょう。今まで気づかなかった魅力に気づけるかもしれません。

個別メッセージで熱意伝える

ただ、中には、この機会に積極採用を打ち出して大量採用し、その後自由競争をさせて、結果を出していない人材を平気で退職に追い込む企業もあります。そこは単純に積極採用している企業に乗っかるのではなく、離職率や人材教育の実態などを見て、その企業の人という経営資源に対する考え方、価値観をつかんで、見極めをしてほしいと思います。

企業の良しあしは、規模の大きさや、有名かではなく、中身だということの認識を改めて持っていただき、幅広い情報収集をしてほしいと思います。

もし中小企業で、興味が持てる企業を見つけたら、就職サイトから単にプレエントリーするだけでなく、興味を持ったきっかけや、どんな点をより知りたいと思っているかといったメッセージを、人事担当者向けに送ることも有効な手段の1つだと思います。

大企業や有名企業では、たくさんの応募者があり、1人ひとりのメッセージに対して反応することはまずしないと思います。しかし、応募者がそれほど多くない中小企業では、個別にメッセージを投げかける学生を、熱意があると捉えたり、しっかりと考えていることに好意を感じたりすることが少なくありません。

そもそも、中小企業には、本気で向かってくる学生がそれほど多くないので、例えば興味を持った企業を独自に研究し、魅力や強みをまとめたレポートを作成し選考時に渡すなどして、興味関心を持っていることを言葉だけでなく具体的行動でアピールすると、とても有効なインパクトを与えられると思います。

行動量を増やすというと、どうしても企業へのエントリー、セミナー参加などの「接点の数を増やす」イメージばかりがあるかもしれませんが、数だけではなく、企業へのアクションの「質を高める行動を増やす」という面もあることを知っておくといいと思います。

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