ところが、この物件探しが予想以上に困難を極めます。
まず、シングルマザーというだけで貸してもらえる物件が少ない。手頃な家賃の物件を見つけても、単身者用だから2人入居はダメだと断られたり、子どもは部屋を汚すからと嫌がられたりすることがたびたびありました。
退去日も差し迫ってくる中、ようやく借りられたのが現在住んでいる部屋だったのです。
引っ越しも終わって、親子2人での生活もようやく落ち着いたように思えましたが、ウルトラの母さんには気がかりなことがありました。
息子さんの通う保育園は女性の保育士さんばかりで、家に帰れば自分と2人きり。父親がいなくなったいま、女性だけと触れ合って育つのが、息子にとってどう影響するのかわからなくて不安だったのです。
そんな時期に出会ったのが戦隊ヒーローのショーでした。
「息子とデパートの屋上で偶然見たんです。仲間との絆とか、そういう熱い大事なことを教えてくれるじゃないですか。これは息子のためにいいかもしれないと思いました。何より、かっこいいね!って2人でハマったんです」
その日から、週末になると一緒にヒーローショーを観に行くようになりました。
1年を通じてヒーローショーを上演している専用劇場は、デパートの屋上よりずっと舞台設備も豪華で、出演者の演技やワイヤーアクションも非常に完成度が高く、衝撃を受けました。
毎週末通っているので、同じ内容の公演を何度も観ますが、日によって観客の雰囲気に合わせたアドリブがあったり、違う角度から舞台を観たりして、飽きることがないとウルトラの母さんは話します。
ヒーローショーからウルトラマンショーへ
ヒーローショーの魅力を知ったことから、ウルトラマンのショーにも足を運ぶようになったのが、ファンへの入り口でした。
戦隊ヒーローのショーもとても魅力的でしたが、仲間とチームで戦うよりも、1人で敵に立ち向かっていくウルトラマンに強く心を打たれたのです。
とくに感動したのが、客席から沸き起こる子どもたちの歓声。半泣きで「がんばれー!!!」と応援する子や、「ウルトラマンだいすきー!!!」と愛を叫ぶ子たちの声を聞くと、いまでも、何度でも、涙腺が緩むと言います。
「戦うウルトラマンにもパワーをもらったし、どん底だったときに聞いた、子どもたちの『がんばれーー!!!』の声も沁みたんですね。私も頑張るよ!って思いました」
怪獣が好きな息子さんですが、ショーを観ているときは、ウルトラマンのアクロバティックなアクションに大興奮。「かっこいー!!!」とはしゃぐわが子の姿が、ウルトラの母さんにとっていちばんの喜びです。
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