パナソニックの中国傾注がどうにも心配な理由

コロナショックで前提は大きく変わっている

中国に賭けていていいのか(撮影:ヒラオカスタジオ)

日本の対中国輸出入総額(2018年)は、2位であるアメリカの14.9%を抜き、21.4%と断トツ首位にある(財務省貿易統計)。今や、日中の経済関係は切り離せなくなっている。この現象を、多くの日本企業は世界経済の潮流として、楽観的に受け入れてきた。

ところが、コロナウイルス感染問題を機に、全日本来訪者のうち、約30%を占める中国人旅行客が激減したインバウンドの落ち込み、自動車メーカーに見られるサプライチェーンの断絶など、「中国依存型経済」によるチャイナリスクが改めて問われている。

この変化を目前にして、筆者は大手食品スーパー「ライフコーポレーション」の創業者である清水信次氏にインタビューしたときに聞いた言葉を思い出した。

「私の目の黒いうちは中国進出を許さない。大東亜戦争に負け、満州・朝鮮の日本人資産はことごとく失ってしまった。その怖さを肌身で感じているので進出しない」

清水氏は、日中、日韓友好を切望し関係団体の長を務めた経済人であり、円満な国際交流を望んでいるが、ことビジネスとなると、発言のとおり慎重である。学校を卒業した翌年の1944年(昭和19年)の陸軍入隊を機に中国へ出征し、戦中戦後の動乱を自身の目で見てきた。天変地異のごとく起こる想定外の「チャイナリスク」の怖さを熟知しているからこそ、中国への投資に敏感になるのだろう。

「戦争を知らない子どもたち」世代が経営層に

今や、清水氏の世代は経営の第一線から退き、戦中戦後の中国での動乱を経験していない「戦争を知らない子どもたち(世代)」がCEO(最高経営責任者)やCOO(最高執行責任者)を務めている。その中でも、グローバル企業をつかさどっているトップは横並びと思えるほど、中国での成長=成功と疑いもなく確信しているようだ。

筆者は、彼らの見方を否定しているわけではないが、チャイナリスクをどれほど計算しているのか問いたい。リスクヘッジの度合いは各社各様である。ただし、中国と関わっている企業はどこも、今回のコロナウイルス感染問題を機に再考を迫られたことだろう。

コロナウイルス感染が発生する前から、米中貿易摩擦をきっかけに、生産活動をはじめ中国との関係が深い企業は、戦略転換を強いられていた。そのような中にあっても、中国に賭けると表明していた企業がある。そのうちの1社がパナソニックだ。

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