まず、市場は合理的でない。投資家は合理的でない。常に冷静とは限らないどころか、冷静だったことはほとんどない。
実際、PERが揺れ動くのは、楽観に傾くか悲観に傾くかで、一箇所にじっとしていることはなく、株価は揺れ動く。毎日の変動はそもそも理論的には説明できないように、中期的なPERの変動も、要はセンチメントの変動で、金利だけでは説明できない。
最大の誤りとは何か?
しかし、そもそも最大の誤りは、ピーク時、史上最高値の株価は正しい株価で、下落した時の株価は正しくない株価だ、という前提だ。
中立的にみて、どちらが正しい株価かわからない。せめて、その間が妥当な株価だと見て、妥当な株価から15%落ちている、というのならまだ分かるが、ピークが正しい株価、という前提は常に間違っている。だから彼の議論は120%間違いだ。これは客観的に言えることだ。
一方、筆者個人の見解を述べると、30%落ちた株価、例えば、NYダウ平均は約2万ドル、日経平均株価は約1万6000円台、これが安いか、と聞かれれば「高くはないが、安いともいえない」、と答える。「今が水準的には妥当な株価ではないか」、と思っている。ただし、これは個人的見解だ。
ここで2つ重要な注意点がある。
まず、妥当な水準であるという評価が正しかったとしても、それはまだ買いではない。少なくとも「迷わず買い」ではない。
なぜなら、株価が妥当な水準で安定していることはほとんどなく、株価は常に、上がっているか下がっているか、どちらかだからだ。経験則的に言えば、10年に1回大暴落があり、その後回復過程、上昇過程、そしてバブル過程を通じて、9年間は概ねあがり続け、そして10年に一度の暴落がやってくる。その繰り返しだ。はっきりしていることは、ずっと妥当な水準で安定しているということは例外的な時期だ、ということだ。
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