今後のポイントは増税後の景気動向
以上のことから、電通もフジHDも広告事業自体は伸びていることは間違いありませんが、電通はイージス社の買収が足を引っ張り、フジHDは主力の放送事業が伸び悩みという原因から、業績は思ったほど伸びていないということです。
今後の見通しとしては、広告事業に限って言いますと、2014年1~3月までは、消費税増税前の駆け込み需要によって景気が押し上げられるという予測から、広告業も好調を維持するのではないかと思います。
ただし、4月以降は増税によってどれだけ景気が腰折れするかはわかりません。その際に、スポンサー企業が広告宣伝により売り上げ増を目指そうとするのか、それとも業績の落ち込みに合わせて広告費を削ろうとするのかは、今のところ予測の難しいところです。企業ごとの判断の蓄積が、結果として広告代理店やメディアの業績に表れることとなります。
日経広告研究所の「2014年度の広告費予測」によると、2014年度は4月以降、増税に伴う駆け込み需要の反動減が起こるものの、2013年度補正予算の経済効果と、企業の賃上げによる消費増が期待できることから、企業の広告費は2013年度比で1.7%伸びるだろうとの調査結果を出しています。
ただ、私たちの給与総額の平均を示した「現金給与総額」は、今のところほとんど伸びていませんし、円安の影響で「消費者物価指数」は2014年1月の時点で前年比1.3%増えているのです。
さらに消費税率が3%引き上げられます。確かに最近、賃上げを行う企業が増えていると話題になっていますが、これらの要素を埋められるほど賃金が上がるかと考えますと、なかなか難しいのではないかと思います。
以上の点から、増税を境に、GDPの55%強を支える個人消費の落ち込みがしばらく続く可能性は否めません。
冒頭でも説明したように、広告業は景気に敏感に反応する業種ですから、増税後の景気動向、特に給与や消費の動きに注意を払うことが大切です。
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