重症者を守り、また医療崩壊を起こさせないために、司令塔組織が治療の優先度が高い順に入院先医療機関の選別を行い、患者を振り分ける。私は、大阪府のこの施策についても、3月9日記事で示したクリティカルシンキングの分析結果から見て極めて合理性の高いものであると考えています。コロナウイルス感染拡大への対応としては、「流行のピークを下げる」×「患者の増加のスピードを抑える」という2つの軸に注力し、医療崩壊と防ぐということが最大効果ポイントであることは確実ではないでしょうか。
なお、日本政府は、中国やその他医療崩壊を起こしてしまった国々のケースを分析して、人々を実体的に病院に簡単には行けないようにする措置(フェーズ1)→イベント等の自粛要請(フェーズ2)→小中高校の閉校要請(フェーズ3)を経て、より強力かつ強硬な措置を発動できるように準備している(フェーズ4)という段階に進んできているものと分析しています。
「需要」「供給」「金融」のトリプルショック
次に、下記の図表を使って、「コロナショック」にかかわるリスクシナリオについて考察していきたいと思います。まず、経済においては、「需要ショック」「供給ショック」「金融ショック」の3つがトリプルショックと呼ばれますが、これらの中でも、「需要ショック」は、私たち自身が消費者としてすでに体感し、懸念し始めているのものではないでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってこのまま経済活動が多大な影響を受けることで、自分自身の所得が減少、それに伴って消費を手控えようとする動きにつながっていくことです。すでにこのタイミングでは不要不急のものは購買を控えようと思っている人も少なくないと思います。「需要ショック」のもう一つの重要な主体は企業です。企業においては、何よりも資金繰りの悪化が最も懸念されるところです。また、それに伴って設備投資が減少してくることも「需要ショック」の重要な内容として挙げられます。
次に「供給ショック」を見てみましょう。新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、まずは工場などの供給能力の低下が懸念されます。その集合体としてのグローバルサプライチェーンも大きく影響を受けるでしょう。感染の当初の震源地だった中国を起点とするサプライチェーンが引き続き大きなダメージを受けるのは言うまでもありませんが、感染拡大が各国で続けば、中国のみならずグローバルなサプライチェーンに影響が及ぶのは確実です。
また、すでに日本でも経験しているように、今後もイベントやコンサートの中止、店舗や各種施設の閉鎖も拡大してくることも予想されます。イタリアでは北部地方などの都市封鎖が行われ、またアメリカではソーシャルディスタンスと呼ばれる大規模な都市単位での隔離もすでに叫ばれ始めています。アメリカが欧州との隔離政策を発表したことで、各国の間、あるいはそれぞれ国内で交通網が遮断されることも経済にとっては大きなリスク要因として指摘することができます。なお、日本については、2019年10~12月期GDP改定値が年率7.1%減に下方修正されているという状況でもあり、「需要ショック」と「供給ショック」から日本経済が受ける影響は甚大だと考えられます。
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