しかし、こうした見立てはやがて修正を迫られることになる。ワシントンホテルやホテルグレイスリーを運営する藤田観光は2月14日の決算説明会で、中国人客数が足元で前年比60%減少していると公表。2020年12月期は、新型コロナの影響で売上高が12億円、営業利益も10億円少なくなると明かした。
新型コロナ影響をやや楽観的にみていた業界に激震が走ったのが、旅行大手のエイチ・アイ・エスによる2020年10月期の業績予想の大幅下方修正だ。中国や韓国向けの旅行商品だけでなく、人気の欧州はイタリアでの感染拡大が直撃。通期の売上高は前回予想比13.9%減の7750億円、営業利益は同91.2%減の17億円へ予想が下振れ、上場来初の最終赤字に転落する見通しだ。
観光客数は300万人超落ち込む
感染対策として推奨されたテレワークや、スポーツや文化イベントの自粛要請も追い打ちをかけ、ホテル各社にとって底堅い収入基盤だった国内出張客と、コンサートなどのレジャー客を失うことになった。
あるホテル業界の幹部は「3月は宴会で大きく稼ぐ予定だったのに、ほとんどがキャンセル。特に大学近くのホテルは、3月の謝恩会がなくなり、相当厳しいはずだ」と、期待する宴会需要の落ち込みに表情を曇らせる。
三井住友トラスト基礎研究所の試算では、新型コロナウイルスの影響で2020年の訪日客数は約311万人、観光消費額も約4920億円押し下げられるという。観光地では「多くの中小事業者はこの状況が3カ月も続けば借入金の返済に行き詰まり、事業を続けられない」(嵐山商店街の石川副会長)という厳しい状況におかれている。
ここ数年、インバウンド急増に沸いてきた観光業界に突然、暗雲が垂れ込め始めた。
エイチ・アイ・エスの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら