64歳元常務が「再就職先」で味わった哀れな末路

偉くなればなるほどアウェー耐性は脆弱化

まず驚いたのが、初日に前職の会社の名刺を配ったこと。うちの会社の親会社の人事部長だった人なんです。でも、見かけは気のいいおじちゃん風だったので、歓迎会とかやったりしていたんです。ところが、1週間もしないうちに私たちを見下すようになった。「そんなやり方をやっていたのか」とか、「意識が低すぎる」とかバカにし、ちょっとでも反論すると、「立場をわきまえろ!」って怒鳴られる。さすがの私もへこみました。
美春さん(仮名)45歳
うちのマンションに〇〇会社の元専務がいるんですが、ボランティアでゴミの清掃に毎週、参加してて、初対面の人に必ず「どこの大学? どこに勤めてる?」と聞くんです。ルールにものすごく厳格で、ちょっとでも分別を間違えてると、ゴミの中をあさって犯人を突き止めて、その人の玄関先に返す。トラブルになって管理人が注意したら「ルールを守れない人は共同生活する資格なし」と逆ギレしたらしくて……。 わがマンションの〝正論おじさん〟です
恵さん(仮名)48歳
私、テニスをやってるんですけど、そこにも正論おじさんがいます。東大卒、元商社マンのバリバリエリートで、若い子を見つけると「テニスに向き合う態度がなってない」 とか怒る。部下と勘違いしてるんでしょうか
正子さん(仮名)39歳

「過去の肩書」にしがみつく

少々しんどいエピソードだが、このように塩抜きができないと実に残念な事態が起こる。人間の心は実に複雑で、輝いていた過去と混沌とする未来のギャップに耐えきれず、時として「過去の肩書」にしがみつき心の安寧を得ようとしてしまうのだ。

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また、脳の老化は得意分野以外から進む習性があるため「過去の栄光」は最後まで残り続けるという困ったメカニズムも存在する。老化した脳は前頭葉の機能が低下しているので 感情コントロールも苦手だ。

自分より低い属性の人に「俺のことをバカにするな!」と言わんばかりに横柄な態度をとったり、怒鳴りつけることが増えたり、否定されようものならますます意固地になる。

横暴な言動の裏側には、社会的な立場がなくなっていくことへの寂しさと、過去の黄金期への執着が存在する。「俺はそんなにダメじゃない!」と言いたいのだ。

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