「コロナ問題」普通の人が政府に求める率直な声 休校や特措法、経済対策をどう評価しているか

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フリーランサーが適切に扱われていないという批判が高まったため、政府はフリーランサーに対しても措置を講ずるとしました。しかし、業務委託契約等がある場合に限られているなど、決して十分な措置とは考えられません。

これについては、3月12日にアンケートを実施しました。

政府は、4月に緊急経済対策をとりまとめる検討に入ったと報道されています。子育て世帯への支援を中心として、現金給付案などが浮上していると言われます。

これについて何よりも望みたいのは、消費支出などを増やすことを目的とした景気浮揚策であってはならないことです。リーマン・ショック後に行われた現金給付策は、そうした目的のためのものでした。

しかし、いま必要なのは、景気浮揚策ではありません。

自粛要請によって生活の糧そのものを失いつつある人々への対策です。

前述のように、「コロナウイルスに対して政府がなすべき施策に関するアンケート調査」で、「景気対策、金融緩和」に対する支持率が15.7%でしかなかったことを、もう一度強調したいと思います。もし現政権が株価対策に走るなら、多くの国民の離反を招くでしょう。

人々の意見を吸い上げてほしい

コロナウイルスの問題は、日本社会の基盤に関わる重要な問題です。国民の考えや意見を吸い上げる努力が、もっとなされてしかるべきだと考えます。

例えば学校休学要請については、事前の広範な意見聴取は無理としても、学校関係者の意見を聞くことは必要であったと考えられます。この問題は、新学期になってからの措置をどうするかにも関係します。

ここで紹介したアンケート調査は、私が個人的に行っているものであり、サンプル数も新聞社等が行う世論調査に比べてかなり小さいことを認めざるをえません。

また、私が個人的にnoteに開設しているブログ内で行っているものであるために、サンプルセレクションバイアス(標本が特定の人に偏っていること)があることも否定できません。

しかし、このような意見が存在することが重要なのです。

(※)以上の結果は、noteにも公表しています(「みんなの意見」はおおむね正しい:アンケート調査と結果)。ただし、以上で紹介したのは、結果公開後の回答も含めているため、noteに掲載したものとは、若干数字が違っています。
野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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