日銀、新型コロナ対策で追加金融緩和を議論へ 年6兆円のETF買い入れ目標引き上げが選択肢
[東京 11日 ロイター] - 日銀は18―19日の金融政策決定会合で、追加緩和を視野に議論を行う。新型コロナウイルスの感染拡大による株安・円高などで、企業経営者や消費者のマインドが急速に悪化しており、市場の安定と景気の下支えに必要と判断した場合、緩和措置に踏み切る。緩和手段としては株価指数連動型上場株式投信(ETF)の買い入れ目標引き上げが有力な選択肢となるもようだ。複数の関係筋が明らかにした。
関係筋によると、追加緩和を行う場合は、年6兆円となっているETF購入目標の引き上げが選択されそうだ。日銀はすでに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて総裁談話を発出、通常のETF買い入れをそれまでの703億円から1002億円まで増額している。当面、日次ベースのETF購入額を少なくとも1000億円規模で維持する方針だが、これをそれまでの買い入れペースにあてはめれば年6兆円強となる。
「6兆円の枠に近づけば、買い入れ目標の引き上げも選択肢の一つだ」(関係筋)という。市場のボラティリティが拡大すれば、機動的に購入額を増やし、市場の安定化につなげたい考えだ。
併せて、中小企業が経営難に陥り、雇用・所得への影響が深刻化するリスクに対応するため、金融機関への資金供給の拡充も検討される見通し。成長基盤強化を支援するための資金供給など、これまでの枠組みを利用するほか、新たな制度を創設する案も浮上している。
さらに、米欧中銀の政策対応や内外のマーケット動向次第では、市場が織り込んでいるETF買い入れ増額ではなく、マイナス金利深掘りに踏み込むべき、との意見も日銀内にはある。
一方、日銀内には、今回のように疫病が原因で実体経済や市場が動揺した場合、感染が広まっても企業の設備やインフラが毀損するわけではなく、感染のピークアウトが鮮明になれば、実体経済は急速に回復するとの見方も目立つ。ETFも既存の枠組みのなかで柔軟に買い入れを増やすことも可能で、潤沢な資金供給と併せて継続しつつ、本格的な追加緩和は感染の広がりや実体経済への影響をもう少し見極めてからにしたいとの声もある。また、追加的な対応をしたとしても、一時的な措置であることを明確にすべきとの意見もある。こうした内容も含めて、日銀はぎりぎりまで情勢を注視し、最終判断する。
新型コロナウイルスの感染拡大に終息のめどが立たない中、実体経済の回復シナリオは不透明感を増している。18日からの決定会合で、新型ウイルスの実体経済への影響を定量的に判断することは難しい。4月1日の日銀短観を踏まえ、4月27日からの金融政策決定会合でも「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)の中身を議論し、追加緩和の是非を改めて検討する。
(編集:石田仁志)
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