コロナで就活が大変な人と苦にならない人の差 出遅れた学生はリスクがどんどん積み重なる

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一方で、2021年卒の就活戦線は、もともと「売り手市場」「就活ルールの変更」などが重なり混乱が予想されていたことを確認しておきたい。コロナ問題が深刻化した時期は、これから就職ナビがグランドオープンして就活が本格化する前の出来事だったことも混乱に拍車をかけている。

平成の30年においても就活の混乱は何度もあった。バブル崩壊後90年代前半からの「就職氷河期」は、流行語大賞の部門賞を受賞したが、この約10年においても2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災、2016年卒の就活時期繰り下げなどがあった。

ただ、これらの混乱は今回のコロナ問題と比べると、時期やダメージなどがやや異なる。リーマンショックは、2009年卒の採用活動がほぼ終わり、内定式の手前の時期に発生したものだった。東日本大震災は、選考や内定出しが本格化する前だった。また、影響の範囲が見えやすかった。経団連企業は、当時4月1日だった選考開始日を6月1日に変更し対応した。就活時期繰り下げは、方針が決まったのが2013年だった。スケジュールが長期化するなど混乱はしたものの、準備期間があった。

売り手市場は継続するか

ここ数年、新卒採用は売り手市場が続いている。リクルートワークス研究所が調査・発表している「大卒求人倍率調査」は、現4年生の代は1.83倍で、前年の1.88倍より0.05ポイント下落したものの、リーマンショックで求人倍率が大幅に低下した2010年以降で2番目の高さとなっている。6年連続、売り手市場の基準だとされる1.6倍を超えているし、ここ2年は1.8倍を超えている。2021年卒採用は、やや求人数の鈍化が予測されていたが、売り手市場は継続のトレンドだった。

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売り手市場は、学生を採用する企業のフライング、青田買いを誘発する。今年度はそれだけではなく、経団連が就活時期に関する「採用選考に関する指針」を設定しない初の就職戦線となっており、就活時期が混乱するとみられていた。時期などに関するルールの設定は政府が引き継いだが、有名無実化が進んでいる。

コロナショックをどう乗り越えるか? 企業の採用活動の進化が期待される。

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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