コロナで就活が大変な人と苦にならない人の差 出遅れた学生はリスクがどんどん積み重なる

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コロナウイルスの経済への影響は甚大であることが予想されている。グローバルなサプライチェーンや、国内の消費への影響もある。人手不足が課題となっていたが、企業の業績悪化により、採用活動そのものの凍結を行う企業が現れる可能性はゼロとは言えない。このような採用減、採用凍結リスク、さらにはあってはいけないことだが、内定取り消しリスクなども今後は浮上する可能性がある。

私の目の前で起こったこと

ここで、千葉県の偏差値50の大学の教員として、就職指導も担当している立場から、目の前で起きたことを話そう。学生の不安をいかに解消するか、そして可能なかぎりアクションしてもらえるかどうか。私がいま、直面している課題である。いや、就活支援のその前に、大学が通常どおり動いていないという問題も大きいのだ。

2月20日にリクナビの合同企業説明会の中止が発表された頃、学内で開かれていた企業説明会にも異変がみられた。参画企業の参加辞退がポロポロと出始めた。企業側も、採用活動を通じてコロナウイルスの加害者にも被害者にもなってはいけない。そして、採用担当者も安全な環境で働く権利がある。その学内の合同企業説明会も2月28日に予定していた最終日は中止になった。学内でのコロナ対策が強化されたためである。

2月28日より本学では学生の参加する教育活動、課外活動が禁止された。学生には大学に来ないように呼びかけている。

私はいち教員として対面でゼミ生への指導、さらには就活相談にのることができず、困っている。ただ、より深刻なのはキャリアセンターである。本学では就活解禁直後の3月は1日、50人分の相談キャパを用意しており、例年これが毎日ほぼ100%で埋まる。ただ、現在は電話での相談対応のみなので、利用者は1日30人くらいになっている。エントリーシートの添削などは対面のほうがやりやすいし、人とリアルな場で会うと安心するのだが、その対応ができない。

早くから始めていた学生はもう内定が出始めており、企業に囲いこまれている。遅く始めた学生はスケジュールも見えないうえ、採用減のリスクと向き合わなければならない。このように、コロナウイルスの影響は学生全体に及ぶわけではなく、出遅れ層にきいてくるだろう。

コロナショックが直撃した2021卒就職戦線において、学生と企業が直面する課題を整理すると以下のようになる。

【学生にとっての不安、課題】
・就活のスケジュールが立てられない
・ウェブ面接、面談への不安
・リアルな場で社員と会う機会が限られる
・キャリアセンターの活用が制限される
・採用人数減、採用活動停止などの不安
【企業にとっての不安、課題】
・ウェブ説明会、面接・面談への対応
・内定者フォローのパフォーマンス低下
・採用活動に対するバッシングリスク
次ページもともと混乱想定の2021年卒採用はコロナでさらに混沌
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