「麺屋 丈六」を作った元原発作業員の快活人生

安定した関西電力を40代で離れ勝負に出た

人気飲食店が集まる通称“ウラなんば”で、とくに人気のあるラーメン屋「麺屋 丈六」。店長を務める丈六さんに、これまでの道のりを伺った(筆者撮影)
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむが神髄を紡ぐ連載の第77回。

「麺屋 丈六」は、人気飲食店が集まる通称“ウラなんば”の中でもとくに人気のあるラーメン店だ。

カウンター席に座れるのは8人。広い店内の半分は順番を待つ人たちのためにいすが並べられているのだが、店内におさまり切らないほどのお客さんがじっと順番を待っている。

メインメニューは大阪ご当地の“高井田系”のラーメンだ。スープは鶏ガラ、濃口しょうゆ、ネギのざく切りを乗せた中太麺の一品だ。黒いスープが特徴で、しょうゆの香りが食欲をそそる。

メインメニューは大阪ご当地の“高井田系”(筆者撮影)

見た目よりもアッサリとしているが、深いコクと風味があり、思わず一気に食べてしまった。毎週のように通うという常連さんも多いらしいが、実際に食してみるとそれもうなずける。

「麺屋 丈六」では、毎月第1週の日曜日の朝7時から10時に“おはようラーメン”というイベントを開催している。早朝からラーメンを食べたい人がいるの?と思うかもしれないが、このイベントには30人以上の行列ができる。

店長いわく8割以上はラーメンマニアの人たちで、お店に並びながらさまざまなお店について情報交換をするらしい。

みんなにとても愛されているラーメン店だ。

人々を夢中にさせるラーメンにたどり着くまで

そんな「麺屋 丈六」の店長を務めるのが丈六達司さん(55歳)だ。

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丈六さんはどのような人生を経て、人々を夢中にさせる一杯のラーメンにたどり着いたのか?

お昼休みに、店内で話を聞いた。

丈六さんは、和歌山県に生まれた。

「小さい頃から親父と一緒にご当地の和歌山ラーメンを食べ歩いてましたね。それが僕のラーメン人生のはじまりでした」

ただ子供の頃はラーメン屋さんになりたいとは全然思っていなかった。

「父親は大工だったんですが、冬は寒いし、夏は暑いしで大変そうだからいややなと思ってました。おかんは美容室をやってましたが、美容室は女のやるもんだと思っていたから興味はわかなかったですね。

おかんには、『サラリーマンやったほうがいいよ』ってよく言われてました」

小学校1年生から剣道にはげむ、真面目な子供だった。

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