「麺屋 丈六」を作った元原発作業員の快活人生 安定した関西電力を40代で離れ勝負に出た

✎ 1〜 ✎ 76 ✎ 77 ✎ 78 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

丈六さんは毎日ラーメンを作っていても、まだラーメンは大好きだという。

「年に250~300杯くらいは食べますね。去年は弟子と『新潟のラーメン食べに行こうか』って自動車で高速道路8時間かけて新潟まで行って、自動車の中でちょっと寝た後、初日に8杯食べましたね。それで翌日は3杯食べて、最後に福井に寄ってソースカツ丼食べて帰ってきました。昔はもっと食べられたんですけどね。50歳超えて食べられなくなりました(笑)」

丈六さんはラーメンの勉強をするつもりで、ラーメンの食べ歩きをしているわけではない。ただただラーメンが好き、ラーメンオタクだからラーメンを食べ歩いている。

ただそれでもラーメンを食べ歩くことは、勉強になるという。

「『この店はこんなふうにしてるんだ、おもろいな。パクったろ』って思ったら、お店で限定ラーメンを作って常連さんに出してみるんですね。毎週来て、違うラーメン食べてる人もいますよ。1年間で40種類くらい違うラーメンを出してますね。今日なんて、ラーメンじゃなくて特製たまごとじうどんを出しましたよ。

レシピを作るのは、あんまり試行錯誤しないで『これでいけそうだ!!』って思ったら、パッと作るんです。そうするとうまくいきますね。そういうのが得意なんだと思いますね」

「また食べに来たい」と思わせる、根っこの優しさ

絶好調の「麺屋 丈六」だが、丈六さんは55~56歳くらいで和歌山に帰ろうかなと思っているという。現在55歳だから、もうまもなくだ。

実際、今年の4月に南海本線の和歌山市駅の新駅ビルに2号店が入ることが確定している。しばらくは大阪と和歌山を行き来して、軌道に乗せて行こうと思っている。

「最終目標は和歌山市駅店もうまいこといって、60歳くらいになったら実家の近くに小さいお店を作って細々やる、というのが夢ですね。体がしんどかったら昼だけでもいいし、夜は飲みに行って、もう年だからちょっと飲んだだけでヘロヘロになって帰ってくる。で、二日酔いだったら、翌日の営業はやめておこうかな、みたいな。そんな感じでやれたら最高ですね」

「麺屋 丈六」の1番の魅力はもちろんラーメンがおいしいことだ。ただ、店長の人間的な魅力も一役買っている。頼りがいのある兄貴という感じだ。

店内のいたるところには、アイドルやお笑い芸人のサインが飾ってある。もちろん人気店なら取材もたくさん来るから、芸能人が来訪するのは珍しくない。

店内のいたるところに飾られた芸能人のサイン(筆者撮影)

ただ、丈六さんはラーメンが好きで食べに来てくれたアイドルのライブを実際見に行ったり、ジャニーズや吉本興業の若手のタレントさんを応援していたりしているという。お金がないときに来店した若い芸人さんが、賞レースで優勝して有名になった後も遊びに来てくれることもあるという。

丈六さんの根っこに優しさがあるから、お客さんたちは「また、食べに来たい」と思うのだと思う。

僕も今度大阪に行ったときには、またぜひ食べに行きたいと思った。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事