「仕事と家事育児」で倒れそうな母がすべきこと 「自分を後回し」にする人に欠けている視点

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冷凍食品やお総菜、外食は、生活を楽にしようと企業が努力して提供しているものであり、人類の進歩の賜物ですから、使うのが悪と考えすぎなくてもよいのではないでしょうか。

「毎日、一汁三菜を用意しなくちゃ」なんて考える必要もなし。もともと一汁三菜は精進料理のおもてなし料理であり、戦後の高度経済成長期に「専業主婦」という役割ができたことで、役割に見合うレベルに家庭料理を引きあげたという背景があります。一汁一菜が普通だった時代もありましたし、諸外国では家族そろっての外食が日常という文化もあります。

一汁一菜という言葉に縛られ、料理をしない日があったり品数が少ないことに、母親だけが罪悪感を持たなくてもよいのではないでしょうか。むしろ、そうした割り切りをせずに、つねに1人で全部やろうとして、我慢しすぎてしまうことが、産後うつや家庭内ギスギス状態につながってしまうのかもしれません。

ときには仕事を優先させることも悪くない

ワーママにとっては「仕事」と「家事育児」の兼ね合いも悩みどころです。仕事が立て込んだり出張が入るなどして家や子どもの面倒が見られなくなると、そのことに罪悪感を感じるお母さんもいるようです。

でも、これも私は料理と同じく、メリハリとバランスの問題だと思います。やれるときにしっかりやっておけば、少しくらい自分がいなくても実際は大丈夫。ましてや罪悪感を感じる必要はないと思います。

むしろたまには、あえて母親が数日間家を空けることをオススメします。私は子どもが1歳のときに1週間の海外出張に行ったことがあります。行く前は夫が自分の仕事をしながらワンオペすることへの不安はありましたが、結果的にはきちんと回っていたようで、まったく問題ありませんでした。

それどころか私が1週間家を空けたことは、その後のわが家にいい結果をもたらしました。夫がワンオペを体験したことで、その後の家事育児がとても楽になったのです。それまでももちろん協力してくれていましたが、やはり「お手伝いスタンス」だと家事育児の全体像はなかなかつかめないと思います。

ちょっと手伝ってるだけなのに「俺頑張っただろ?」アピールをされてイラっとするという話もよく聞きますが、1週間やってもらうと、トイレットペーパーを替える、お風呂の排水溝の髪の毛を捨てるといった「名もなき家事」もやることになりますから、家事・育児全般を、身をもって理解してもらえます。

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