離島にもLTE。KDDIカバー率99%の現場 沖縄では教育や観光振興にLTE網を活用

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ケータイ親子教室ではメッセージアプリ「LINE」の使い方やネットのトラブルなどを解説する。これまで離島ではあまり開催されてこなかったが、KDDI本体も協力して本格化する

沖縄セルラーは、LTEのエリア拡大と同時に、タブレット端末などの活用を促すための取り組みも進めている。ターゲットになっている分野は、教育と観光だ。

まず教育。沖縄県内で高校がある島は、沖縄本島と石垣島、宮古島、久米島の4島だけ。陸路で高校に通うことができない島は23にのぼる。こうした島の子供たちは、中学校卒業と同時に親元を離れるため、心細く感じる子供も多かった。そこで、慣れない生活の中で、ネットやスマホを介したトラブルに巻き込まれないよう、島を出る前の親子を対象としたケータイ教室を始めている。教室で教えるプログラム内容は、島民の聞き取り調査から決めたものだ。

宿泊予約の受付にタブレットを活用

もうひとつは観光支援。こちらは離島への観光を支援する県のプロジェクトだ。沖縄セルラーが提供するタブレットを活用した、宿泊施設向けの予約システムがその代表例。離島では通信環境の整備が遅れていたため、多くの施設が電話やFAXで予約を受け付けている。だが、農業などと兼業している施設も多く、電話に出られず、せっかくの予約を逃してしまうことがあった。そこで、タブレットを使って外出先でも予約を確認し、簡単な画面で受付可能かどうかを即座に連絡できるシステムを提供している。

タブレットを使った予約受付システム。宿泊予約を専用メールで照会し、施設の空き状況に応じて「○」「△」「×」の3つのボタンを押すことで、その場で受付ができる

北大東島では、2月からシステムを先行導入している。使い心地を聞いてみると、「港近くの魚市場も運営していて外出も多いので、外で確認できるのは助かる。操作も簡単なのでいい」(ハマユウ荘)。「宿泊客の95%以上がビジネス客のため、ゴールデンウイークはガラガラ。本土から観光客を呼び込みたい」(民宿二六荘)といった声が聞かれた。3月からは粟国島、渡名喜島、座間味島など10島の施設にもシステムを広げている。今後は予約だけでなく、宿帳もタブレットで管理できるようにするなど、機能面を拡張していく。

まだ取り組みは始まったばかり。利便性が理解されれば、LTEネットワークは離島振興にも大きな後押しになるかもしれない。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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