今期最高益、絶好調KDDIに死角はないのか ドコモのiPhone参入も何のその
「かなり影響があるとみていたが、なんとか乗り切っていい流れになっている」
KDDIの田中孝司社長はこう語った。NTTドコモが昨年9月にiPhoneの取り扱いを開始し、その影響に注目が集まったKDDIの2013年4~12月期(第3四半期)決算発表。売上高は前年同期比17%増の3兆1798億円、営業利益も同34%増の5332億円と過去最高となった。
好調な業績を受けて、同社は通期の業績予想を上方修正した。売上高は従来予想から1400億円増の4兆2800億円、営業利益も300億円増の6600億円とし、通期でも最高益を更新する見通しだ。契約純増数についても、これまでは、前期比30万件減少の230万件の計画だったが、10万件増の270万件に上積みした。
スマートバリューが牽引
今期もユーザー開拓の軸となったのは、スマホと固定回線のセット割引「スマートバリュー」だ。従来型の携帯電話からスマートフォンへの買い替えが進んだことや、高単価なLTE契約が増加したことで、モバイルの通信料収入は前年同期比で722億円増加した。
固定回線の通信料収入も238億円増加している。また、昨年4月に連結化したケーブルテレビ大手、ジュピターテレコム(以下、J:COM)の売上高2630億円、営業利益504億円も上乗せされた。スマホの拡販に伴い、端末の調達費用や販売手数料、J:COM連結による費用などで営業費用は3300億円ほど増加したが、これを通信収入の増加で軽々と吸収した。
12月までの契約純増数は191万件、ソフトバンクの228万件には及ばないが、通信モジュール(フォトフレームや子供向けブザー付き携帯など)を除いたベースでは業界トップ。解約率も0.71%と業界最低水準で推移している。こちらも固定回線とのセットであるスマートバリューが効いているようだ。1契約あたりの平均月間収入(ARPU)についても、音声通話の減少の影響で減少傾向にあるが、予想を上回る結果となった。1月の販売実績についても好調が続いているという。
ただ安心はできない。次の焦点は、最大の稼ぎ時である3月商戦。KDDIは来期の成長を見据え、先行コストをかけて積極的にユーザーの獲得に動きそうだ。田中社長は「適切なキャッシュバックをやっていきたい」と説明する。
KDDIが動けば、当然ドコモ、ソフトバンクも同じようにコストをかけてユーザー獲得を狙ってくるのは間違いない。業績を上方修正したとはいえ、年度末は厳しい戦いになる可能性もある。
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