離島にもLTE。KDDIカバー率99%の現場 沖縄では教育や観光振興にLTE網を活用

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沖縄セルラーの北川洋社長

約8キロ離れた南大東島から海底ケーブルを延伸するという方法もあったが、二つの島の間には海溝があり、ケーブル敷設は困難。そこで、有線回線が利用できる南大東島から、「無線エントランス」と呼ばれる技術を用い、直線的に電波を飛ばす方法を採用した。この電波を北大東島側の基地局で受け、さらに中継局を活用することで、島全体をエリア化。災害時には、南大東島からの電波を増幅させることで通信を維持するという。

LTE化が完了したのは今年2月のこと。ただ、特殊な手法を用いているため、回線の容量は毎秒最大6メガビットに制限されている。現地でスピードテストアプリで測ってみると、3~5メガビット弱程度。通常のネット閲覧には問題ないが、データ量の多い動画を快適に視聴するのはやや難しい環境かもしれない。

なぜ離島にまでLTE?

島唯一のau携帯電話ショップ。カー用品店も兼ねている。店員の話によると、仕事で使うため、防水防塵のモデルが人気。在庫を抱えていないが、注文から最短3日で端末が届く仕組みだという

こうした離島にまで、エリア構築に力を入れるのはなぜか。

沖縄セルラーの北川洋社長は語る。「全国ベースのシェアとは異なり、沖縄ではauのシェアが約5割あり、2人に1人がお客様だ。それだけに、ネットワークについても責任感を持って構築しなければならない」。北川社長は、「基地局のある島にはすべて行くとの方針」で、北大東島も4度訪れているという。

離島において、基地局の建設や運用コストを、島のユーザーからの収入で回収することは不可能だ。仮に100年分の通信収入でも回収することはできない。だが、沖縄セルラーが重視しているのは“auはつながる”という満足度と口コミの効果だ。「本島から農業アルバイトなどで訪れるユーザーなども、現地でつながることを実感すると、本島で評判を広げてくれる。これが当社の競争力につながっている」(北川社長)。

3月末で、沖縄セルラーによるLTEの実人口カバー率は99.8%に達する見込み。だが、課題は残っている。「まだ島によって通信速度の差がある。海底ケーブルの敷設などで、各社や自治体と協力して速度アップに取り組んでいきたい」(北川社長)。

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