試合前に飲んだ風邪薬がドーピングになる理由 どの薬が禁止対象になるか事前確認が大切だ
過去には国の威信をかけたドーピングも
オリンピックやプロスポーツなどの大会では、トップアスリートたちが卓越した身体能力を発揮して輝いています。しかし、その華々しい舞台の裏側には、ドーピングという闇の世界が潜んでいます。
ドーピングとは、競技力を高めて優位に戦うために、禁止されている物質や方法を使用したり、その使用を隠蔽したりする行為です。その歴史は長く、19世紀後半に麻薬や興奮剤が使用されるようになりました。旧共産圏国などでは、国の威信をかけた国家ぐるみのドーピングも行われていました。
ドーピングは、ときに選手の身体に深刻な悪影響を及ぼします。過去にはドーピング薬物の副作用により、死亡した選手もいるのです。それでもなお、ドーピングは後を絶たず、最近ではスポーツが商業化した結果、巨額の褒賞金を得るために勝利至上主義に走る選手たちもいるのが実情です。
ドーピングは「スポーツのフェアプレーの精神」に反する、許されざる行為。ドーピングが行われれば、競技スポーツ自体の存在価値はなくなります。スポーツの価値を守るために、また選手を健康被害から守るためにも、ドーピングは排除されなければなりません。
ドーピング行為に反対する、アンチ・ドーピング活動を推進するための組織として、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設立されました。WADAは世界中の人々が公平で公正なスポーツに参加できるよう、世界アンチ・ドーピング規程(World Anti-Doping Code、以下Code)という、全世界・全スポーツで共通のルールを作っています。日本では、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が設立され、アンチ・ドーピングの活動を展開しています。