ブラックマンデー型の大暴落の可能性がある 「Xデー」が来たら、その後はどうなるのか?

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しかし、そのエリートの思惑を若者は受け入れるだろうか。確かにクリントン時代の民主党が中心になって作り上げたグローバリゼーションは、われわれの生活水準を向上させた。だが、過度なグローバリズムは、格差をよび、その反作用として取り残された庶民感情は、政治をナショナリズムへ、経済をソーシャリズムの方向へ向かわせた。

そのトレンドにおののいた既得権益世代は、前出のように「ネバーサンダース」としてサンダース氏阻止に団結しているわけだが、アメリカはリーマンショックで混乱をもたらした張本人の金融を真っ先に救済し、その怒りの延長で生まれたトランプ政権も、米中貿易で影響が出た農家には、すぐに補助金を出す社会主義政策を堂々とやっている。

つまり、今のアメリカには、サンダース氏を社会主義者とののしることができる矜持も信条も実は存在していない。若者は、サンダース氏の掲げる学費ローンの免除や国民皆保険のコストの50兆ドルは、既得権益世代が享受するはずの、まだ担保されていない年金や老人医療のコスト210兆ドルと同等の権利と考えており、そのツールとしてMMT(現代貨幣理論)なる新しいブードゥー教を信じているのである。

FEDに逆らうことがチャンスになる可能性

さて、ここからはもう一つの新型コロナで情勢が激変したマーケットへ話を移そう。まずは注目すべきはFEDの50BP(0.5%)の緊急利下げが株価には効果がなかったことだ。

これは、これまで市場の「禁じ手」とされたFEDに逆らうことが、もしかしたらチャンスになる可能性を秘める。そして乱高下する実際の値動きの60%は、人間ではなく何らかのシステムの判断によるものだが、さらにその内訳では、人間がコードを書いたトレンドフォローのアルゴリズムが6~7割で、残りの3割前後が、AIが自分で学び自分で判断をしていく自己ラーニング型になっている(FT)という。

レポ金利(金融機関が国債などを担保に、短期金融市場で資金を貸し借りする際の金利)が急騰した昨年9月の調整局面では、自己学習するAIが、旧来のシステムトレードをパフォーマンスで上回ったことが判っているが、今後はその傾向は増幅していき、恐らく、人間が自分の願望でバリエーションを変える今の金融ユーフォリアに引導を渡すのは、この「感情のない自己ラーニングのAI」になるだろう。

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