政策不在のデフレ宣言、高まり続ける閉塞感

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こうした一時的、循環的な要因とは別に、構造的な要因も横たわる。グローバリゼーションによる世界的な供給能力の増大と先進国での高失業率の恒常化、IT革命による生産性向上がもたらした物価下落などだ。現に、日本の消費者物価指数(エネルギーと食料除く)は1998年9月以降、昨年後半を除いてマイナス。デフレは10年越しと言っても過言でない。

特に問題なのは、景気実感に近い名目GDPが6四半期連続でマイナスという状況だ。現在、名目のGDPと雇用者報酬は92年並み。まさに“失われた17年間”である。デフレ下では住宅ローンなど債務の実質的な負担が増し、暮らしも窮屈になる。当然、税収が落ち込み、国は財政赤字体質から抜け出せない。いきおい将来の増税不安が高まることで、国民のマインドがデフレ化する。これが日本の現実だろう。

沈む株価と閉塞感

新政権は変革の期待を受けて誕生した。子ども手当などの内需刺激策や、事業仕分けを通じた財政の節約と“見える化”は目玉といえる政策だった。だが、あまりに巨額な財政赤字と税収減を眼前に、早くも努力の限界を直視せざるをえなくなっている。

こうした閉塞感を今の株価が映し出している。市場は、企業の増資ラッシュを単なる業績悪化の穴埋めと見透かすと同時に、政府の成長戦略なき国債大増発に絶望感を抱き始めているようにも見える。

菅担当相は言う。「80年代以降の財政出動は効果が薄く、小泉政権の規制緩和は格差を生み、いずれも間違いだった。財政に頼らず、新たな需要や雇用を生む“第三の道”があるのではないか」と。その具体策を早急に指し示せなければ、経済の地盤沈下に拍車がかかる。

(中村 稔 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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