アンジェスは過去に幾度となく市場から資金を調達。今回の共同開発を発表する直前である2月17日にも、第三者割当の新株予約権発行による90億円超の調達計画を発表したばかり。
遺伝子治療やDNAワクチンなどの知見を内外で推し進め、ゲノム編集に強いアメリカのバイオベンチャー・エメンド・バイオセラピューティクス社に50億円超を出資、持ち分会社にする予定だ。こうした拡張ぶりに業界関係者からは「戦線の広げすぎ」との懸念も聞かれる。
2月17日に新株予約権の募集を発表した後、株価は一時400円割れまで下落したが、共同開発の発表を受けて株価は600円近くまで戻り、市場はとりあえず今回の発表を評価した格好だ。
オールジャパンで開発を進められるか
今回のDNAワクチンで利用するプラスミドDNAは、アンジェスが長年培ってきた技術だが、世界初の承認を目指してDNAワクチン開発をやり切ることができるかという点で、一抹の不安はつきまとう。
開発費は、動物実験だけでも数億円はかかり、森下教授らは「オールジャパンで開発を進めたい」と大手製薬会社や大学などにも共同開発への参加を呼びかけている。しかし、製薬大手に比べると資金力や経営体力で見劣りするアンジェスなどベンチャー企業にとって開発の負担は軽くなく、途中で開発中断を余儀なくされるリスクは小さくない。
今後は日本医療研究開発機構(AMED)などを活用した研究資金の支援、治験の迅速化など、国による実効的なウイルス薬の開発支援が求められる。世界に先駆けて日本発のDNAワクチン開発が成功すれば、将来、新型感染症が発生したときの備えにもなる。
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