日本人ネイリストが海外セレブに指名される訳 マドンナやレディ・ガガを夢中にさせている
「今は、時間が足りないのが悩みです。例えば、ニューヨーク・ファッション・ウィークなどのショーがあると、1カ月以上休みがとれませんし、朝から晩まで働いていて、寝ているかネイルをしているかどちらかといった状態なんです」
ショーのヘアメイクが決まるのは、2~3日前。それに合わせて、この2~3日の間に、ショー用のネイルチップを作らなければならないのだが、その数が筆者が想像していた以上に膨大だった。
「ファッション・ウィークなどのショーでは、どんなサイズの爪にも合うようにモデル1人につき18枚のネイルチップを作ります。つまり、モデルが20人だったら、360枚。モデルが30人だったら、540枚。多いときは1週間で2000枚作ることもあります。ファッション・ウィーク期間中は戦争なんです」
また、ある日のスケジュールを聞いてみたところ、これも壮絶だった。
8時から10時まで、ファッション・ウィーク用のネイルチップ作り
11時からファッションショーの現場へ行き、15時まで仕事
16時にある芸能人のネイルをし、その後、ある女優のテレビ出演用のネイルを担当
20時に自宅に戻り、寝る直前までネイルチップ作り
23時に就寝
このスケジュールで、1カ月以上休みがない……。あまりの多忙さに、話を聞きながら筆者まで息切れしてしまいそうだった。
ニューヨークでのセレブリティーとの仕事や、ファッションショーでの仕事などと聞くと、われわれは華やかなイメージを抱くが、その舞台裏は過酷だ。ネイリストとしての成功の裏には、こんな苦労や努力もあるのだ。
続けられるのは「好き」だから
ここまで話を聞いてきて、筆者は思わずこんな質問をしてしまった。
「そんなに大変なお仕事だったら、やめたいと思ったことはないんですか?」と。
すると、直美さんは、笑いながらこう答えた。
「もちろん、つらいなと思うことはたくさんあります。でも、1度もネイリストをやめたいと思ったことはないんです。それはやっぱり、ネイルが好きだから。もう15年以上やっているけれど、全然飽きないんですよね。
何年やっていても、毎日毎日学ぶことがあるし、いつもネイルのことばっかり考えてしまうんです。だって、夢にもネイルが出てきますもん(笑)。
だから、たとえ大変なことがあったとしても、こうやって好きなことを仕事にできて、お金をいただけているのだから、文句は言えないなと思っています」
どんなにつらいことがあっても、続けられるのは「好き」だから。努力し続けられるのは、「好き」だから。
ニューヨークで夢をかなえ、今も挑戦し続けている直美さんを突き動かしているのは、「好き」という情熱だった。
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