「内助の功」という言葉は消えつつある
「内助の功」という言葉があります。よく耳にするのはノーベル賞受賞のときですね。メディアは「妻の内助の功があってこそ偉業を成し遂げられた」とさかんに報じます。
2014年、青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞した3人のうちの1人、名古屋大学教授・天野浩さんの妻・香寿美さんは、報道陣に「内助の功なんてしていませんよ」とコメントして話題となりました。
2019年にリチウムイオン二次電池の開発でノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さんの妻の久美子さんも、登山が趣味で夫を置いて山登りに行くこともあったとインタビューに答え、一般的な内助の功の枠組みにはまらない夫婦像を示しました。
婚活の現場でも、夫婦それぞれ自立して互いに高みを目指して支え合っていく、同志のような結婚を理想とするカップルが増えています。また、男性より女性のほうが、年収が高いカップルも少しずつですが増えてきています。こうしたカップルでは仕事に励む妻を支える夫が「内助の功」となりますが、残念ながらそういう表現を聞くことはまだありません。
彼・彼女たちの親である高齢者世代の間では、いまだ「妻が夫を陰ながら支える」という夫婦像が残っており、社会が完全に変わりきってはいないように思います。冒頭で示した天野さんは50代、吉野さんは70代ですが、研究室には若い世代も多いせいか感性が時代の一歩先を行っているのでしょうね。
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