観客を動員したオープン戦はすべて沖縄・宮崎といったキャンプ地で行われ、動員数はここまで計7万3837人で、1試合当たり平均5274人だった。だが、各球団の本拠地などでの試合になると観客数は急増して1試合当たり平均2万人前後となる。
無観客試合になった72試合では、最低でも140万人前後の観客動員が見込まれたはずだ。入場料だけでも28億円以上の売り上げが飛んだとみてよいだろう。
オープン戦は公式戦の予行演習ではあるが、同時に秋季、春季キャンプのコストを吸収する興行ともみなされている。キャンプはグッズの売り上げ等は少しあるが、それ以外にはほとんど売り上げがなく持ち出しだ。それをオープン戦で補填するという考え方だったのだ。各球団にとって、オープン戦の入場料収入が飛ぶのは軽微な損害ではない。
公式戦が無観客になれば、その損失はオープン戦の比ではない。仮に3月20日(金)の開幕から4月2日(木)まで、2週間の公式戦70試合が無観客試合になれば、210万人以上の動員が飛ぶ。ファンクラブや年間シートなど複雑な計算は伴うがチケットの平均単価を4000円としても84億円もの損失だ。
さらにグループ企業で本拠地球場を所有している球団や、球場の指定管理者になっている球団は、球場内の物販収入も失うことになる。
極めて難しい公式戦の延期
試合ができないのなら、プロ野球もJリーグと同様、公式戦は延期にしたいところだ。そうであれば球場などのキャンセル料は発生しても、売り上げを取り戻すことができる。
NPBの井原敦事務局長は3月3日、「今は3月20日の開幕を目指している」とする一方、開幕が延期となった際についても考えていると話した。
今年は東京オリンピックのために、ペナントレースを7月21日から8月13日まで中断することが決まっている。ポストシーズンも昨年は10月5日からクライマックスシリーズ(CS)、19日から日本シリーズだったが、今年はCSが10月24日、日本シリーズは11月7日からになっている。
仮にこのスケジュールを2週間動かすとなると、開幕は4月3日、CSは11月7日、日本シリーズは11月21日からとなる、雨天順延になれば日程が12月にかかる可能性もある。
野球協約では選手の契約期間は、2月1日から11月30日までとなっている。12月は選手にユニフォームを着せて野球をさせることができない。協約に例外事項を設ける必要がある。
さらに言えば、IOCやJOCは東京オリンピックの開幕日が延期になる可能性にも言及し始めている。そもそも今年のNPBの日程はオリンピックに配慮したものだから、東京オリンピックの日程がずれれば、NPBのスケジュールも変更を余儀なくされる。
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