ラオックス、あまりに痛い新型コロナの直撃 中国人観光客の急減で免税店のリストラ断行

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中国人観光客向けをメインとするラオックスが大型商戦と位置づけるのは4つで、2月の春節、春の花見シーズン、夏休み、10月の国慶節だ。「春節と花見は非常に厳しい状況となっている。(新型コロナの影響が収束し)ゴールデンウィークからでも取り戻せればと考えている」(阿部副本部長)。売り上げの低迷が長引けば、店舗リストラのさらなる拡大を迫られそうだ。

主力のパソコン販売店の不振が続いていたラオックスは、2009年に中国家電小売業・蘇寧電器(現・蘇寧易購)の出資を受け、中国人観光客向けの免税店へ業態を転換。2011年に東日本大震災、2012年には尖閣諸島をめぐる日中関係の悪化などの影響を受けたが、2014年ころから急増した訪日中国人の「爆買い」で業績は浮上し始めた。

大量出店と巨額増資で大攻勢

追い風を受けてアクセルを踏み込む。2015年2月には今後3年間で30店以上を集中出店し、2017年12月期の売上高を1500億円へと約3倍に拡大させる計画をブチ上げた。実際、2015年3月に公募増資などで約300億円を調達し、出店攻勢をかけた。

ところが狙い通りにはいかなかった。訪日中国人の数自体は着実に増加するものの、観光客の嗜好の変化などにより客単価が下落。団体顧客に特化した店舗作りが飽きられたのか、ラオックスの集客力も低下し始めたからだ。増資による店舗拡大戦略は軌道修正し、2018年度と2019年度は店舗を減らしている。

その一方で、免税店頼みのビジネスモデルからの転換に動き出す。中国EC(ネット販売)での日本製品の販売、国内では商業施設運営や飲食店にも力を入れた。百貨店を中心に展開する婦人靴メーカーを複数買収したほか、2018年にはギフト店「サラダ館」を運営するシャディを買収した。

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