マウントゴックス倒産後に浮上した"疑惑" 消えたはずのビットコインを取引?

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倒産後の3月上旬に取引があったとすれば、マウントゴックスが説明した「ビットコインの消失」が事実なのか、極めて疑わしいことになる。

上申書は、東京地裁とマウントゴックスの監督委員に対し、「速やかに、上記事実のご確認と財産の保全に向けた適切なご対応を頂きたく、上申致します。」と締めくくっている。

裁判所はどんな判断を下すのか

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コインサイトで見られるマウントゴックスの取引チャート。3月上旬に大きな動き。これが”証拠”となるのか

焦点となるのは、上申書が根拠にしているコインサイトの取引情報が正しいかどうかだ。同サイトは、ビットスタンプなど複数の取引所の情報も掲載されている。

マウントゴックスで取引をしていたユーザーによれば、「コインサイトで見られるチャートの動向は、ユーザーの間でも話題になっている」と言う。そして、「全部は分からないが、サイトに掲載されているデータを見ると、マウントゴックスが使っていたウォレット(口座)から、ビットコインが流出した形跡は読み取れる」と話す。

ビットコインは、取引の履歴が「ブロックチェーン」と呼ばれる台帳に膨大な文字と数字の列で記録されている。コインサイトにはその文字数列が記載されており、当該データを読み解くことで、マウントゴックスが使っていた口座が含まれていると分かるのだという。

だが、「これらのビットコインの所有者が誰なのかはわからない。マウントゴックスのウォレット自体が盗まれ、そこから引き出された可能性もある」(前出のユーザー)という。上申書では倒産後の動きに対し、「再生債務者(マウントゴックス)によって大半の財産が隠匿される危険性を如実に示すもの」と指摘しているが、外部からそれは判別できない。
 
 マウントゴックスの民事再生案件で監督委員をしている小林信明弁護士に、上申書に対する見解を尋ねたところ、「この案件にかかわる質問は、すべてお答えできない」(小林弁護士の秘書)と言うのみ。

2月26日に取引の全面停止を発表し、わずか2日後に倒産するという不可解な幕引きをしたマウントゴックスだが、倒産した後も謎は深まるばかりだ。上申書で示された”疑惑”も含めて、東京地裁はどのような判断を下すのか。 答えは、民事再生手続きの「開始決定」か「棄却」。二つに一つだ。

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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