人事異動で見るべきポイント
まず、当たり前のことですが、人事は上から決まるもの。担当役員が決まって、部長、一般管理職の所属先が確定していきます。
まずは役員の人事発令に注目しましょう。人事発令された旧役職と新役職から各役員に対する期待値を探ってください。たとえば、
4月1日付人事発令(6月下旬株主総会付)
(※)本欄に記載の取締役の異動については、本年6月下旬開催予定の定時株主総会および同総会終了後の取締役会において正式決定される予定。
山下次郎(仮名) 現職 九州営業本部長 ⇒ 新職 営業企画本部長 兼 執行役員
「すごい、山下さんが本社で役員に大出世だよね。思わず、ついていきたくなった」
と褒めたたえたり、
「もともと社長のお気に入りで、頻繁に2人で飲んでいるらしいよ」
とうわさ話にいってしまいがちですが、ここは自分の働き方の参考にするため、見方を変えましょう。山下さんが「どうして出世した」でなく「どのような仕事を期待されているのか」を考えてみましょう。たとえば、
・九州で改革に成功した営業スタイルの全国展開を期待されている
のかもしれません。あるいは、本社営業本部で生かせる過去の経験があるのかもしれません。続いて、役員の人事発令は部下に対して期待すること(仕事ぶり)も変わります。たとえば、
・経営方針を実直にこなす献身性の高い人物
・問題点を果敢に指摘できる勇気ある人物
過去に誰が重用されてきたか?を確認していけば、明らかになることでしょう。たとえば、取材した製造業の営業部門で、
前任役員)気になることは直接言ってほしいタイプ
新任役員)まずは直属の上司を経由してほしいタイプ
と、人事発令で違うタイプの役員に代わったときのこと。前任のときのように直属の上司に対する不満を役員にぶつけた若手社員がいました。すると、新任役員は
《君の部下から君に対する不満のメールが届いた。文句があれば直接、上司に言いなさいと返しておいたので、あとはよろしく》
と若手社員の上司に不満を突き返しました。その後に、若手社員と上司の関係が気まずくなったのは明らか。若手社員にしてみれば「これまでなら、上司の不満を聞いてくれて、役員が巧みにたしなめてくれた」という体験があったので、言ったのでしょう。
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