ベン・アフレック「アルコール依存症」との闘い 新作映画は自身の過去を投影している

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新作でベン・アフレックは、自身と同じアルコール依存症に苦しむ役を演じた(写真:Magdalena Wosinska/The New York Times)

アフレックと女優のジェニファー・ガーナーとの結婚生活は、長きにわたる別居を経て2018年に終わった。2人の間には3人の子どもがいる。いまだに罪の意識を感じるものの、恥の意識からは脱することができたという。

「私の人生最大の後悔はこの離婚だ」と彼は現在形を使って言葉を続けた。「恥の意識は実に有害だ。恥の意識は前向きなものを一切生まない。低い自尊感情と自己嫌悪という有害で恐ろしい感情の中で、恥の意識は煮詰まっていく」。

彼は短く息を吸ってゆっくりと吐き出した。まるで自分を落ち着かせようとするかのように。「失敗、つまり酒をまた飲み始めてしまったことばかり考えて打ちのめされてしまうのは、自分にとってはあまり健康的とは言いがたかった」と彼は言った。

「私は確かに失敗した。確かに後悔するようなことをした。それでも自分を奮い立たせなければならないし、そこから学び、もっと多くを学び、前に進もうとしなければならない」

「心の底からお詫びする」

『The Way Back』は当初、過去の人を意味する『The Has-Been』というタイトルだった。

高校時代にバスケットボールの名選手だったという主人公の輝かしい過去が作中に占める比重が小さくなり、この暗いタイトルは取り下げられたとアフレックは言う。要するに、『過去の人』と大書されたポスターに自分の顔が載るのを喜ぶスターはいないということだ。

特にアフレックの場合、最近の主演2作は興行的に成功したとは言えないからなおさらだ。『ジャスティス・リーグ』(2017)の興行成績は6億5800万ドルと、スーパーヒーロー物としてはぱっとしなかったし、監督・主演作のギャング映画『夜に生きる』(2016)に至ってはたったの2300万ドルだった。

アフレックはキャリアを立て直そうと死に物狂いで働いてきた。だからといって結果が保証されているわけではないのがつらいところだ。審判を下すのは映画ファン、特に女性ファンだ。SNSにあおられ過剰に先鋭化した社会から、許しを得ることはできるのだろうか。

ガーナーの心を傷つけ、2013年にはテレビ番組で女性司会者の体を触った男――そんな印象をアフレックに対していまだに抱いている人もいる。「不適切な行動だった」とアフレックはMeToo運動が始まったばかりの2017年に述べている。「心の底からお詫びする」。

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