ベン・アフレック「アルコール依存症」との闘い 新作映画は自身の過去を投影している

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ハリウッドがアフレックに寛容だったのは間違いない。アナ・デ・アルマスと共演したサイコスリラー『Deep Water(原題)』は撮影が終わったばかりで、11月に公開予定だ。ネットフリックスではミステリードラマ『マクマホン・ファイル』の配信が始まったばかり。ディー・リースが監督を、アン・ハサウェイが主演を務める話題作だ。

また、デイモンらと脚本を共同執筆した映画『The Last Duel(原題)』の撮影も2月、フランスで始まっている。2人が脚本を共同執筆するのは1997年の『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』以来だ。14世紀を舞台にした物語で、リドリー・スコットがメガホンを取るまさにオスカー狙いの映画と言える。ディズニーは本作をクリスマス時期に傘下の20世紀スタジオを通じて公開する予定だ。

アフレックは今、監督作のプロジェクトにも力を入れている。ただし、何年も前に制作が伝えられていた1957年の『情婦』のリメイク版とは違うと彼は言う。アフレックが意欲を燃やしているのは『King Leopold’s Ghost(原題)』。

現在のコンゴ民主共和国が植民地だった時代に起きた収奪を描いた歴史映画で、マーティン・スコセッシがプロデューサーを務めるという(アフレックは2010年に『東コンゴ・イニシアティブ』という援助団体を共同設立している)。

父親もアルコール依存症だった

アフレックは2018年に3度目のリハビリ施設での治療を終えて以降、自らのアルコール依存症についてはあまり語ってこなかった(ちなみに彼は2001年と2017年にもリハビリ施設に入って治療を受けている)。だが『The Way Back』の完成で、この話題を避けて通ることはできなくなった。

また去年の秋には、芸能情報サイトのTMZに酒に酔った姿を伝えられてしまった。断酒を1年間、続けることができたと明らかにしてからほんの数カ月しか経っていなかった。

子ども時代、毎日のように飲酒する父親の姿を見ていた(写真:Magdalena Wosinska/The New York Times)

「酒を再び飲んでしまったことは明らかに恥ずかしい」と彼は言った。「あんなことが起きるなんてね。あんなことがネットに載らなければいいのにと心底思う。子供たちの目に触れてしまう。ジェン(ガーナー)と私は必死に対応し、誠実であろうとした」。

マサチューセッツ州で過ごした子ども時代、アフレックは毎日のように酒を飲む父の姿を見て育った。「父は私が19歳になるまで、酒が抜けていることがなかった」とアフレックは言いつつ、いきなり言葉選びに慎重になった。

インタビューの中でアフレックが言葉を一つひとつ注意深く選んだのは、このときを含めて2回だけだった。もう1つはレイプと性的暴行の罪に問われたハーベイ・ワインスティーンの裁判について質問したときだ。若いころにアフレックは、ワインスティーン率いるミラマックスの映画にいくつも主演した。

「個人的に苦しめられた人たちや彼の行為の犠牲になった人たちによって十分に語られていないことで、私が何かつけ加えたり言ったりすることがあるかはわからない」とアフレックは述べた。3年前にアフレックは、ワインスティーンが制作を手がけた自身の出演映画から今後得られる放映権料をすべて、性的暴行の被害者支援に寄付する意向を明らかにしている。

「年を取るにつれ、父が最善を尽くしたことがよくわかってきた」とアフレックは話す。「アルコール依存症や精神疾患になった人がうちの家系にはたくさんいる。その血はとても強くて、なかなか逃れられない」とアフレックの弟ケイシー(44)は、自らのアルコール依存症について述べている。2人の父方の祖母は46歳のときにモーテルで、おじの1人はショットガンで自殺し、おばの1人はヘロイン依存症だった。

「基本的に、何の疑いもなく、心底、自分自身がアルコール依存症であることを受け入れるにはだいぶ時間がかかった」とアフレックは言う。

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