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働き方改革で消耗していく「中間管理職」の悲劇 問題解決をすべて背負わせるのは無理がある

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  • 小林 祐児 パーソル総合研究所主席研究員 執行役員 シンクタンク本部長
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この状況はサッカーに例えればわかりやすい。かつてより試合のスピードは上がり、戦術は高度化・複雑化している。その中でいわば「キャプテン」たる中間管理職は、今、法令遵守というディフェンスも、業績管理という中盤のボール回しも、イノベーションというオフェンスも、すべてプレーすることを強いられる。

ほかのメンバーはアディショナルタイム(=残業時間)を前に競技場をあとにしてしまうし、監督たる経営陣は、最終的な試合の勝ち負け=業績ばかり見る……。これでは、キャプテンの心労たるや推して知るべし、である。しかも、メンバーと比べた年俸=賃金水準はここ数十年ずっと下り坂だ。

人事は管理職のスキルが足りないと感じている

3つ目に指摘できるのは、人事サイドの発想が、この状況をさらに悪くしているということだ。

さまざまな組織課題に直面した人事の多くは、先程のような期待感のもと、管理職の「個々のマネジメント・スキル」を向上させることで対応しようとする。「人事側が感じる自社の中間管理職への課題感」のトップは、「マネジメント・スキルの知識・スキルが高まらない」というものだ。

「スキル開発」と言えば聞こえはいいが、こうした発想の裏にあるのは、なにか組織課題が発生するたびに「今のマネジャーではスキルが不足しているがゆえに課題に対応できない=スキルを上げよう」という短絡的なロジックだ。そして、こうした課題感を持っている企業では、人事が管理職への「研修によるスキル開発」をより多く実施していることが調査からもわかっている。

確かに、時代に応じたマネジメント・スキルの向上やマネジメントスタイルの変化は必要だ。しかし、組織課題のすべてをマネジメント・スキルの変革で乗り切ろうとするのは限界といえるだろう。

サッカーの例えで続けるのならば、チームが弱いからと言ってキャプテンに「筋トレ」ばかりさせるようなものであり、それで試合には勝てるほどいまの市場は甘くない。今の管理職の窮状には、組織全体を見据えた構造的なサポートや戦略が必要だ。

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【管理職「受難」時代の乗り切り方】

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