定年前後のお金と手続きがわかる意外な相談先 ファイナンシャルプランナーには頼れない?
50代後半になって会社員生活も終盤になると、定年後の生活が急速に現実味を帯びてきます。最近では、65歳までの就業機会の提供が義務化されたため、ほとんどの会社で再雇用制度がありますから、8割くらいの人は再雇用で働いているといわれます。ただ、その働き方はさまざまで、現役時代と同じように厚生年金に加入してフルタイムで働く人もいれば、週3日程度の時短で働く人もいます。
どのような働き方であっても、定年後の生活は、多かれ少なかれ現役時とは異なってきます。社会保険の負担の重さも変わりますから、会社の総務や庶務の人に任せきりにしてきたことの多くについて、自ら対応しなければならなくなります。これは容易ではありません。定年対策本の類いはたくさん出ているものの、定年後の生き方や働き方について心構えや考え方を説く内容が多く、さまざまな生活にかかるオペレーションについてはあまり触れていません。
かくいう私も定年にまつわる本を何冊か書いていますが、そうした実務的な内容は限定的で、一般論としてしか触れていません。これは勤めていた会社によって制度が異なることもありますし、定年後の働き方によって手続きなども違ってきますから、一概には述べられない部分があるためです。
では、そうした実務的な手続きや制度は誰に聞けばいいのでしょうか?
定年退職した「同じ会社の先輩」が頼りになる
会社の人事労務担当者などに、退職前に聞くという方法もありますが、自分の経験上、最も頼りになるのは「一足先に定年退職した先輩」です。それも、自分と同じ会社を退職した2~3年先輩の情報はとても参考になることが多いのです。
その理由は大きく3つありますが、まずは「自社の退職給付制度や健康保険などについて、詳しく教えてもらえる」ということです。実は退職後の生活や家計収支についてファイナンシャルプランナーなどに相談しても、あまり役に立たないことが多いのです。あなたが勤めていた企業の退職給付制度のことをファイナンシャルプランナーはよく知らないからです。
私は、1500社くらいの企業の退職給付制度を調べたことがありますが、会社によって本当に大きく異なりました。ファイナンシャルプランナーも、相談者から自社の制度の仕組みを教えてもらわないことには理解しようがないのです。
一方で、相談者のほうも自社の退職給付制度などについてよく知らないことが多い。したがって、まずはそれを理解するところから始める必要があるのです。そのためにどうすればいいかといえば、いちばんいいのは直近で経験した先輩に聞くことなのです。同じ会社に勤めていた先輩ですから、生活の水準もそれほど変わらないでしょう。社内における地位や立場から多少の違いはあるかもしれませんが、同じ会社であれば制度も待遇もおおむね同じなので、先輩の話は空理空論ではなく、現実的で役立ちます。
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