そこで、そのことを彼女に告げた。すると、驚くほど怒り出したと言う。
「家族を大事にして、何が悪いの? 私の家族にヤキモチを焼いているの? そんな度量の狭い人だとは思わなかった」
その後、彼女の相談所から交際終了が来た。彼女が相談所に告げた理由は、「私の家族を悪く言った。結婚したら私の家族も彼の家族になるのに。そんな男性とは、結婚できない」とのことだった。
「僕は、彼女の家族を悪く言った覚えはない。こっちは繁忙期でクタクタなのに、何とか会えないかとスケジュールをやりくりしていた。それを、わかってほしかっただけなのに。伝え方が悪かったんですかね」
新しい命が誕生したことで家族中が喜び、赤ちゃんが実家に来たことで、その子を中心に家族の時間が回り出したのだろう。ただ結婚するというのは、自分も新しい家族を築くということだ。何よりもまずはパートナーを優先して考えたほうがよいのではないか。
婚活者だけでなく、仲人も…
先日は、私も反省しなくてはならないことが起こった。結婚相談所では、成立したお見合いのキャンセル、お見合い後交際に入っているのに一度も会わないで交際を終了すると、ペナルティー料金が課せられる。これは、約束を安易にすっぽかすことを抑止するためだ。
武雄は、38歳女性とお見合いが成立していたのだが、女性の相談所から、「インフルエンザになったので、明日のお見合いはキャンセル。治ったら再調整させてほしい」という連絡が入ってきた。ところが、そこから2週間経っても、3週間経っても再調整の日程が出てこない。私が相談所に連絡を入れると、相手の仲人からこんなことを言われた。
「彼女の父親ががんで亡くなって、その後の落ち込みが激しく、電話しても電話に出なくなりました。まったく連絡がつかない状態なので、こちらもどうにもならない。このままお待たせするのも申し訳ないので、いったんお見合いを白紙に戻させていただき、また連絡がつくようになったらこちらから申し込みをかけたいと思います」
お見合いを白紙に戻すというのは、キャンセルの案件なので、私が、「では、キャンセル料の振り込みをお願いします」と言うと、仲人は、「会員とは連絡が取れませんし、事態が事態なのでご理解ください」と、“キャンセル料は払わない”という方向に持っていかれた。
この一連の流れを武雄に話すと、彼が言った。
「会員をしっかり管理するのは、相談所の役目ですよね。父親を亡くしてショックなのはわかりますが、連絡がつかないからキャンセル料は払わないというのは、お見合いをキャンセルされた側の立場に立っていない。相手を思いやれないのは、婚活者だけじゃないのですね」
まったくそのとおりだ。私が引き下がらず、「払ってください」と言えばよかったのかもしれないが、相談所間の関係が悪くなると、ほかの会員のお見合いをその相談所と組むときに、問題が生じてくる。そこで、私が引き下がった。
婚活に限らず、仕事での人間関係、ご近所との付き合いも、どれだけ相手の立場に立って物事を考えられるか。相手を思いやる気持ちを持つことが、最も大切だ。
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