広がる"資格貧乏"!税理士、社労士の悲哀 弁護士、公認会計士だけじゃない
ここまで来ると明らかにモラルハザードといっていいでしょう。
趣味系資格の、怪しい実態
私は、以前から主婦やOLさんに人気の「趣味系民間資格」の取材もしてきました。フード系資格、フラワー系資格、マッサージ系資格、セラピストなど心理・癒し系資格……etc.
たとえば「〇〇マッサージ取得者」や、「〇〇式リフレクソロジスト資格」といった資格は平たく言えば、“ブラック・マッサージ屋”による金儲けと働き手集めの手段にすぎません。悪徳マッサージ屋は、「癒し」や「健康」「お客様の笑顔」、そして「資格」というキーワードに弱い女性が寄ってくるように、見せかけの資格を作ります。そして、その資格取得のためのスクールを開講し、生徒から10万円以上のカネを取る。
いきおい、実習だの研修だのいって、店でタダ働きさせた後、低賃金の非正規雇用者として雇い入れるのです。この仕組みなら人材募集のための採用コストもかからないうえ、資格ビジネスとして十分儲けることができます。
民間趣味系の資格は、結局、その大半の団体や学校が、資格を取った人が講師になる就職先としてしか機能しておらず、資格取得希望者の受講料、試験料、資格合格者が資格を維持するための年会費などで儲ける、危険なねずみ講のようなものが多い印象です。ギャンブル同様、得をするのは胴元だけなのです。
だまされるほうが悪いのか?
しかし、このような話は、知っている人は知っている話。引っかかるほうにも注意が足りなかったという面はあるでしょう。
しかし、社労士のヒヨコ食いのケースなど、今や「高級な国家資格」まで民間資格と同じロジックが横行している様を見ると、複雑な心境になります。
ロースクールやアカウンティングスクールの惨状を見ても、ここまでくると、国家ぐるみの資格商法の失敗だったと言われても、仕方がない状況なのではないでしょうか。弁護士、会計士を目指した人は、素朴に、その職業の明るい未来を夢見ただけです。
ところで中国の科挙制度は「千年の失敗」とも言われ、見るも無残に崩壊しました。その一因は試験に通ることが何より重要となり、試験の通った後の人材の育成を怠ったからだと言われています。
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