串カツ田中「中止も検討」、プレ金に大きな岐路

開始から3年、狙いの「消費喚起」に停滞感

織田氏は「同じ取り組みを続けることで、割引の日しか来なくなる『割引待ち』を最近感じ始めている」と打ち明ける。

全面禁煙による男性会社員の来店減少やメディア露出の減少により、直近の業績は苦戦している。串カツ田中の既存店売上高は、2017年11月期に客単価が2.1%減となる一方で、客数が4.9%増となり、売上高は2.7%上昇した(いずれも前期比、以下同じ)。2018年11月期も客数が牽引し、客数が4.8%増、客単価が2%減となり、売上高が2.6%増加した。しかし、2019年11月期に入ると勢いが鈍り、既存店客数が0.2%増と前年並み、客単価が3.3%減となり、既存店売上高は3.1%減と前期を下回った。

鳴り物入りで始まったが・・・

午後3時から店舗を開けるため、その分人件費や食材費などの追加負担も重荷になっている。2017年11月期、串カツ田中(当時は単体)の売上高は55.3億円(前期比39.2%増)、営業利益は3.8億円(同22.4%増)と大きく成長した。2019年11月期の売上高は100億円(前期比30.6%増)と伸びたが、人件費や出店費用増加を受け、営業利益は6億円(同8.1%増)と増益幅が鈍った。

今後は毎月の最終金曜日という形ではなく、割引の実施時期などを再考していく。加えて織田氏は、「串カツ田中の認知度が高まったため、『お得』以外の見せ方をする必要がある。これまでは店舗のスタッフが毎日具材を串に刺しているなどおいしさの理由を伝えていなかったので、こだわりを打ち出していきたい」と話す。

プレミアムフライデーは2017年2月の開始当初、「関ジャニ∞」を起用したイベントが行われるなど鳴り物入りで始まった。旗振り役を担った経済産業省は、「消費喚起と働き方改革を進める2つの狙いがあった」(消費・流通政策課の伊藤政道課長)と振り返る。月末の金曜日は給料日後にあたる人が多く、財布のひもが緩みやすいということで設定された。

経産省や日本経済団体連合会のほか百貨店などの業界団体が加盟し、プレミアムフライデーの普及活動などを担うプレミアムフライデー推進協議会によると、当初は大きく報道されたこともあり、プレミアムフライデーの認知度は9割にのぼった。

しかし、開始当初から「月末は忙しく、早く帰宅するのが難しい」という声が多く寄せられた。小売業界からも「最初は働き方改革を前面に出して、それから小売りに浸透するという方法を採るべきだったのではないか」と疑問視する声が上がる。

こうした実情を踏まえ、2017年10月以降は、プレミアムフライデーの実施日を月末金曜日以外の日にちに振り替えたり、ノー残業デーや午後3時にこだわらない早帰りにするなど、取り組みを柔軟化させた。ただ、その試みが浸透しているとは言いがたい。

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