串カツ田中「中止も検討」、プレ金に大きな岐路

開始から3年、狙いの「消費喚起」に停滞感

同協議会が2015人を対象に実施した調査では、2017年2月のプレミアムフライデー当日に通常より早い時刻に退社した人は17%にとどまった。2019年1月も14.4%にすぎず、プレミアムフライデー当日以外への振り替えを推奨したにもかかわらず、別の日に振り替えて通常よりも早く退社した人は5.7%にとどまった。

串カツ田中がプレミアムフライデーに合わせて展開する100円キャンペーン(記者撮影)

2018年2月発表のアンケートでは、回答した1130社のうち77.5%の会社は、プレミアムフライデーの施策を行っても売り上げが変わらなかったと回答した。

当日の過ごし方として、2019年1月のプレミアムフライデーでは「家でゆっくり過ごした」と回答した人が42.6%。次いで16.8%が「仕事をしていた(残業で特別な過ごし方はできなかった)」と回答。経産省などが狙った「外食した・お酒を飲みに行った」と回答した人は15.1%、「買い物・ショッピング」と回答した人は4%にとどまった。

一朝一夕に成果は出ない

百貨店業界では、業界を挙げてプレミアムフライデーを推進しているが、大きな成果を得ているわけではないようだ。ある百貨店の社員は「プレミアムフライデーの客層は、期待されていたビジネスパーソンではなく、既存顧客である主婦やシニア。しかも、ほかの日の需要を奪うほどの大きな効果はなかった」と話す。

2018年7月からは、「消えかけている火を一生懸命おこす努力」(百貨店業界関係者)として、7月と1月のプレミアムフライデーに「プレミアムサマーバザール」や「プレミアムウィンターバザール」をスタートさせた。芸人を呼ぶなどの取り組みも行っているが、中心に据えられているのは安売りのセールだ。

プレミアムフライデーの旗振り役・経済産業省は「時間をかけて徐々に社会に浸透させていく」という(記者撮影)

今後の方針について、日本百貨店協会の山崎茂樹専務理事は、「プレミアムフライデーは(消費喚起の)決定打になっていないが、消費は気分に左右される。『百貨店業界では何かやっている』という雰囲気を作る機会としてこれからも利用し続けたい」と話す。

経産省の伊藤課長は1980年代から民間企業で広まり始めた週休2日制を例に挙げ、「週休2日が浸透するまでに時間がかかったように、働き方改革は一朝一夕には成果が出ない。消費者が月末金曜日に早く帰宅することと、店舗側が顧客を呼ぶための施策を行うことそれぞれにハードルがある中で、時間をかけて徐々に社会に浸透させていく」と話す。

ただ早い時刻での退社定着には程遠く、消費喚起策も沈静化しつつある。働き方改革と消費喚起の「二兎」を追う取り組みは、一兎も得られないまま立ち消えとなるおそれに直面している。

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