サンダース躍進で、民主党主流派はパニック 誰も過半数取れず、党大会にもつれ込みも

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「Tio Sanders(スペイン語でサンダースおじさん)」と呼ばれ、サンダース候補はまるで親戚あるいは近所のおじさんのように愛着のあるなじみやすいイメージを築き上げている。この地道な努力が、ネバダ州予備選有権者の約半数のヒスパニック系の支持を集めるといった驚くべき結果に結びついたようだ。サンダース氏はバイデン氏の「ファイアウォール(防火壁)」であるサウスカロライナ州をはじめ全米の黒人票をも取り込み始めている。連勝するサンダース氏をバイデン氏に替わる「勝利できる候補」と見る有権者が増えているのだ。

ネバダ州党員集会は「炭鉱のカナリア」とも称される。ヒスパニック系を除く白人が人口の多くを占める初戦のアイオワ、ニューハンプシャーの2州と違い、ネバダ州はマイノリティが多く、全米の民主党支持者の人種構成に類似する。そのことから、同州の動向により、2020年予備選を占うことができるというわけだ。

大方の予想では、サンダース氏は2月29日開催のサウスカロライナ州予備選でも上位につけ、スーパーチューズデーではネバダ州と同様にヒスパニック系が多いカリフォルニア州(州の誓約代議員数は全米の約10%)やテキサス州(同約6%)など大きな州で勝利することも確実視されている。

想定外の大きな事象によって状況が変わり大逆転が起きないかぎり、今やサンダース氏以外の候補が民主党予備選で過半数(1991人)あるいは相対多数の誓約代議員を獲得することは、考えにくい。同候補の勢いを止めるのは、もはや手遅れであるとの見方が政治アナリストの間でも広まっている。

2016年共和党予備選のトランプに似ている

ここへきて、エスタブリッシュメントがサンダース氏の指名獲得を阻止する最後の手段は2つ。1つ目が民主党予備選において穏健派候補が早期に1人の候補のもとに団結すること。2つ目が仮にサンダース氏が民主党全国大会(党大会)までに過半数の代議員を獲得できなければ、その党大会で穏健派候補を指名することだ。

サンダース氏の指名獲得を阻止したければ、穏健派候補が早期に団結すべきことは、机上では理解できるものの、実際には容易ではない。現在、穏健派候補はバイデン氏、マイケル・ブルームバーグ候補、ピート・ブティジェッジ候補、エイミー・クロブシャー候補だが、誰1人として得票数または支持率が突出している候補がおらず、穏健派の支持者の票は分散してしまっているからだ。各候補は自らが勝ち抜く希望を失わず、だれもが早期撤退はしないという事態に陥っている。

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