サンダース躍進で、民主党主流派はパニック

誰も過半数取れず、党大会にもつれ込みも

2020年民主党予備選は、2016年共和党予備選の「反エスタブリッシュメントvs.エスタブリッシュメント」を彷彿とさせる。2020年はサンダース氏が反エスタブリッシュメント候補だが、2016年は共和党予備選で勝利したトランプ候補(当時)だった。いずれもポピュリスト候補で支持率が上昇し、穏健派・エスタブリッシュメント候補たちは阻止を試みるも、乱立で一本化できず、苦戦する構図だ。4年前に共和党エスタブリッシュメントに起きた災難が、2020年は民主党エスタブリッシュメントに起きかねない。

なお、今回異色なのは、ブルームバーグ候補だ。選挙資金とキャンペーンスタッフを大量に投入して予備選の途中から参戦してくる候補は、2016年共和党予備選ではいなかった。2月19日のテレビ討論会が実施される前はブルームバーグ氏が穏健派レーンをまとめるとの期待が高まっていた。

だが、19日の討論会で、ブルームバーグ氏は米国史上最悪とも酷評され、その期待は崩れた。25日の討論会でもほとんど改善が見られなかった。とはいえ、同氏の莫大な広告や人海戦術はテレビ討論会の失態を打ち消すとみられ、スーパーチューズデーではある程度の票を確保することが、世論調査からも予想できる。そうなれば、穏健派レーンでは票をさらに分割することとなり、サンダース氏の独り勝ちをますます助けることにもなる。

代議員の過半数を獲得するのはたいへんなこと

もう一つ、サンダース氏が党大会までに過半数の代議員を獲得できず、穏健派が党大会で巻き返しを図る可能性が残されていないわけではない。民主党予備選は全州で得票数に応じて代議員数が割り当てられる比例配分方式だ。共和党予備選が一部の州で採用しているような、勝者が全ての代議員を獲得する「勝者総取り方式」を採用している州がない。そのため、民主党予備選ではいったんリードを広げた候補に追いつくのは容易でない反面、過半数の代議員を早期に獲得するのも容易ではない。

したがって長期戦になれば、ブルームバーグ氏または同氏が撤退した後に支えようとする穏健派候補が選挙資金とキャンペーンスタッフの数で、最後までサンダース氏と競り合うことが想定される。その場合、サンダース氏が相対多数の代議員数をすでに獲得していても、決定は「競争による党大会」にもつれ込む可能性がある。

選挙情報サイトのファイブサーティエイトは、サンダース氏勝利の確率を45%とし、次いで、どの候補も過半数の代議員を獲得できないまま党大会にもつれ込む確率を41%と予想している。なお、その次に確率が高いのはバイデン氏勝利だが、9%にすぎない。つまり、民主党予備選はサンダース氏の勝利、または「党大会に決定もつれ込み」のどちらかとなる可能性が高い(計86%)とみられている。

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