アメリカ大統領選、大荒れニューハンプシャー

バイデンは脱落、穏健派レーンは混戦模様に

ニューハンプシャー州の民主党予備選では左派的な主張をしているサンダース候補が勝利(写真:REUTERS/Rick Wilking)

「アイオワ州はトウモロコシをピック(収穫)する。ニューハンプシャー州は大統領をピック(選定)する」、ジョン・スヌヌ元ニューハンプシャー州知事はこのように大統領選における同州の重要性をアピールしている。

2月11日、民主党予備選でニューハンプシャー州民が最も多くピックしたのはバーニー・サンダース候補(78歳)で得票率26%、2位にはピート・ブティジェッジ候補(38歳)が同24%で入った。サプライズで、3位と先頭集団に入ったのが、穏健派のエイミー・クロブシャー候補(59歳)で20%の得票率だった。本命とされてきたジョー・バイデン候補(77歳)は5位で得票率8%と失速した(いずれも開票率96%時点)。

ニューハンプシャー州はプロのスポーツチームがなく、大統領選がそれに替わる州民の一大イベントともいわれる。ニューハンプシャー州で生まれ育った筆者の友人は、幼い頃から地域や学校の活動を通じて予備選を手伝い、同州に頻繁に足を運ぶ大統領候補を身近に感じていたという。政治意識の高い州民からなるニューハンプシャー州の予備選をメディアも大きく取り上げ、その後、全国で繰り広げられる選挙戦を方向づけてきた歴史がある。

「序盤戦の歴史」は繰り返すのか、今回は違うのか

1972年にアイオワ州が民主党員集会を全国で最初に開催するようになって以降、アイオワ州とニューハンプシャー州の2つの州が、大統領候補をふるいにかけ、上位に入らなかった候補者を撤退に追い込む役割を担ってきた。歴代の民主党あるいは共和党の公認候補は、いずれも2つの州の予備選で1位または2位にランクインしている。1976年以降に実施されたニューハンプシャー州民主党予備選計9回のうち5回は同州勝者が、残り4回では2位の候補が、その後の党大会で民主党公認候補に指名されている。

民主党予備選の誓約代議員数は2州合計しても全国の2%も満たないが、その重要性を軽視した選挙戦略を組んだ候補は失敗してきた。

2008年共和党予備選でルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長は序盤戦4州での選挙活動をないがしろにし、代議員数がより大きいフロリダ州に焦点をあててキャンペーンを展開した。だが、序盤戦から数週間後のフロリダ州予備選で、ジュリアーニ氏は序盤での苦戦から立ち直れず撤退に追い込まれた。2020年民主党予備選では、長期にわたり全米支持率でトップを維持していたバイデン候補もアイオワで4位、ニューハンプシャーで5位と苦戦している。

序盤戦2州の結果が重要であった歴史が2020年大統領選でも繰り返されれば、7月指名の民主党公認候補はサンダース候補とブティジェッジ候補のいずれかに絞られることになる。クロブシャー候補、バイデン候補、エリザベス・ウォーレン候補(70歳)、そしてまだ予備選に参戦さえしていないマイケル・ブルームバーグ候補(77歳)はいずれも撤退の運命にあるのだろうか。

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