Jリーグ94試合延期の英断も拭いきれない不安 新型肺炎対策で日本代表戦や五輪に暗雲漂う

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2011年3月11日の東日本大震災発生時もJリーグは休止となった。ただ、大きな被害を受けたのがベガルタ仙台、鹿島アントラーズなど関東・東北のクラブに限られていたことから、スタジアムや練習場の迅速な復旧に取り組むことで1カ月後の再開が叶った。

今回はインフラの問題ではなく、目に見えないウイルスが敵で、先々の見通しが立たないのが頭の痛いところ。こればかりは、できる範囲で対策をするしかないのが実情だ。

3月18日のJリーグ再開が難しくなれば、3月23~31日のインターナショナルマッチデー(IMD)への影響は必至だろう。同期間はA代表とU-23代表の2つの日本代表チームが活動する予定。前者は3月26日の2022年カタールワールドカップアジア2次予選・ミャンマー戦(豊田)と31日のモンゴル戦(ウランバートル)に挑み、後者は東京五輪強化試合として、27日のU-23南アフリカ戦(京都)と30日のU-23コートジボワール戦(福岡)を消化することになっている。

けれども、すでに南アフリカからは来日拒否のレターが届いていて、日本サッカー協会も別の対戦相手を探すなどの対応に追われている。コートジボワールが同じ意向を示さないとも限らないだけに、東京五輪への重要な強化の場が2試合ともなくなってしまう恐れがあるのだ。

A代表の2戦は公式戦であるため、日程変更は困難だが、今後の動向次第では中立地開催という形になる可能性も否定できない。新型肺炎で先に混乱を極めている中国は、3月26日のモルディブ戦と31日のグアム戦を中立地・タイのブリーラムで行うことが決定している。日本代表も同様の扱いになることが十分ありうるのだ。2019年末から芳しい結果が出ていない森保一監督にとっては、さらなる苦境がのしかかることになる。

IOC委員による”事態終息しなければ中止検討”の報道も

このようにすべてがネガティブな方向に進めば、7月24日から予定されている東京五輪開催も影響が出かねない。国際オリンピック委員会(IOC)委員が「開催可否の判断は5月下旬がリミット」とコメントしたというAP通信の報道もあって目下、日本スポーツ界全体が戦々恐々としている。

起こりうる最悪のシナリオを回避するためにも、プロスポーツ界で最初に開催延期に踏み切ったJリーグには予定どおりの再開が期待される。今回の重大判断によって、新型肺炎の拡大傾向に歯止めがかかるなど、国民全体が安心してサッカーを楽しめる状況がいち早く戻ってくるように願うしかない。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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