Jリーグ94試合延期の英断も拭いきれない不安 新型肺炎対策で日本代表戦や五輪に暗雲漂う
仮に五輪期間に試合をしようと思っても、埼玉や日産、味の素、カシマなどのJクラブの本拠地が五輪サッカー会場になっているため使えず、Jリーグ開催実績のある駒沢、三ツ沢、駒場などの関東近郊スタジアムも公式練習場となるため使用禁止になってしまう。
村井チェアマンは当初「五輪期間の開催可能性も考える」とコメントしていたが、会場確保はやはり困難だ。そういった事情も踏まえ、「この期間は東京五輪に協力して試合は開催しない」という考えに至ったのだろう。
となると、日程を変更できるのは、それ以外の平日しかない。J側は五輪前後の週中開催を考えているようだが、やはり平日夜のゲームは集客数が減る。
2月28日~3月15日のリーグ戦はすべて休日昼開催で、最も集客が見込める状況だっただけに、全クラブにとってダメージが大きい。2018年度の営業収入約97億円というヴィッセル神戸を筆頭に、浦和レッズや鹿島アントラーズなどのJ1のビッグクラブは体力があるかもしれないが、J2下位の水戸ホーリーホックやツエーゲン金沢などは同6~7億円と経営規模が脆弱だ。
J3に至っては藤枝MYFCやYS横浜のように同2億円台というクラブもあるため、試合日程の変更で入場料収入が大幅に減少するのは痛い。経営危機に瀕する可能性も否定できないだけに、J側としても対策を考えていくという。
Jリーグ側が各クラブに補填するかも検討事項
「Jリーグには『大規模災害時補填規定』というのがあります。激甚災害によって被害を受けた時に補填するというもので、通常は雷や地震などで中止になった時に適用される。今回のケースがそれに当たるかは議論が必要だが、現状をしっかり把握して対応したい。それ以外にも準備金があるので、各クラブの財政的負担にならないような配慮は考えていきます」と村井チェアマンは説明していた。
3週間の日程変更であれば、こういった手当で小規模クラブも何とか乗り切れるのかもしれない。
だが、仮に政府の専門家会議の見解どおりに新型肺炎が終息せず、事態が混迷を深めた場合はどうなるのかわからない。それが目下、最大の懸案事項だ。村井チェアマンも「状況によっては、休止が延びる可能性もある」とコメントしたが、現時点の目標である3月18日に再開できなければ、リーグ開催の正常化は4月以降にズレ込み、クラブ経営への影響は深刻化しそうだ。
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