アマゾンに挑むローソンの意外すぎる飛び道具 「からあげクン」が将来空から飛んでくる?

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一方で「飛び道具」としてドローンを活用した実験も始まっている。ローソンと楽天は、既存の専用車両による移動販売と、ドローンによる商品配送を連携させた取り組みを、2017年10月31日より「ローソン南相馬小高店」を拠点に試験的に開始した。

『コンビニチェーン進化史』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

店舗が立地する福島県南相馬市小高区は、福島第一原発事故の影響による避難指示区域であったが、2016年7月に指定が解除され住民の帰還が進んでいる。その一方で、食料品や日用品を扱う商店が不足しており、買物環境を向上させる課題が浮上していた。

ローソン南相馬小高店は、避難指示が解除された3カ月後の2016年10月に、新しいオーナーのもとで営業を開始した。小高区に移動販売車による販売を週2回実施し、そのうち週1回で「楽天ドローン」の専用機を伴いサービスを提供する。ローソン社長の竹増貞信は、ラストワンマイル問題への取り組みについて、次のような背景を語っている。

「シニアの方々が核家族化している。その一方で自由自在に動くためのツールが少なくなっている。買物に行くにも、バスが1時間に1本来ればまだいいほう。しかも地方では(スーパーマーケットや商店街などの)買場がなくなっている。そうした核家族化したシニアの方々のニーズをどう取り込んでいくのか、ハードの母店を活用して、そこから移動販売、さらにはドローンにつなげていく。そこに今回の取り組みの意義がある」

「からあげクン」が空を飛ぶ

ドローンを活用した商品の受け渡しと会計業務を簡単に説明すると、次のようになる。ローソン南相馬小高店から商品を積んだ移動販売車が指定の場所に向かう。その間に注文を受けた「からあげクン」のようなファストフードの商品を、ローソンのスタッフが専用ボックスに梱包し、ドローンに搭載する。ドローンの操作は楽天の操縦者が担当するが、タブレットをタッチするだけで、インプットされた目的地に向けて飛行させられる。

ドローンを使って商品を届けるローソンと楽天の実験(写真:共同通信)

ドローンが移動販売車の待つ指定の場所に着陸すると、ローソンのスタッフが商品を取り出し、移動販売車に搭載したレジで会計し、客に手渡すといった手順だ。

ローソンの商品の中で、とくに需要が見込まれるのがカウンターで販売する「からあげクン」などのホットフーズである。移動販売車には手洗い設備がないため、食品衛生法上、本来ならカウンター商材は販売できないが、店舗スタッフが梱包した商品を直接ドローンに積んで送り届ける分には問題はない。もちろん、ホットフーズ以外でも、重量制限以内なら、何でも運ぶことができる。

同じ買物困難者支援というミッションを持つローソンの移動販売車と、楽天のドローン配送がコラボレーションし、今までにない革新的な利便性を提供する機会になると、両社は認識しているようだ。

梅澤 聡 エディター(外部食研究家)
うめざわ さとし / Satoshi Umezawa

大学卒業後、西武百貨店に入社、ロフト業態の立ち上げに参加。その後、商業界に入社、月刊『コンビニ』、月刊『飲食店経営』の編集長を歴任し、2015年よりフリーランス。中食市場が拡大する現況下、コンビニの中食、それに飲食店の外食を結び付けた「外部食」を1つの市場と捉え、スーパーマーケットの「内食」に対して「外部食」のマーケットとマネジメントをテーマに執筆・編集を続けている。

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