アマゾンに挑むローソンの意外すぎる飛び道具 「からあげクン」が将来空から飛んでくる?

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第1の「店舗」については、店を「在庫拠点」と見ると、全国約2万店にある在庫の総額は1500億円にのぼる。その在庫を有効活用すれば、「お客様に早く、効率的に、お届けすることが実現できる」とセブンの担当者は説明する。

店頭に陳列されている商品は、1日1000人の買物客の目に触れ、購入されていく。その商品を、店の外にいる人たちに情報発信し、スマホアプリ上の陳列在庫と見なしていこうという取り組みだ。

ネットコンビニで利用できる店舗は、自宅の周辺だけではない。職場の近くであっても、旅行に行った先でも、近くに店舗があれば注文が可能である。

第2の強みは「商品」。コンビニ業態は、米飯やパン、総菜といった朝昼晩の食事需要に対して、即食できる商品を多数そろえている。デイリー商品のほか、2リットルの水、米、トイレットペーパーといった、持ち帰るには重くてかさばる最寄品にも需要がある。冷凍食品も、通常の店舗と比較してよく動くという。

コンビニは毎週100アイテム近くの商品が入れ替わる。2800アイテムに固定されず、つねに大量の新商品が提案されることにコンビニの魅力がある。ネットコンビニも新商品を積極的にフィーチャーしていく。

スマホでセブンがもっと便利に

こうしたお届けサービスとして、すでに2000年9月には「セブン・ミールサービス」を立ち上げている。自宅でも店舗でも、弁当や総菜を中心に、一部雑貨も受け取れるサービスだ。店頭では扱っていない、栄養管理士が監修した弁当がスタート時の柱であった。このミールサービスを利用している年齢層は、65歳以上の人たち。一方、宅食サービスのマーケットは、30代、40代の人たちが増えている。

当時セブン‐イレブンの社長であった古屋一樹は、ネットコンビニを次のように説明する。

「ミールサービスだけではなくて、われわれはもっと、お客様に近くて便利なサービスができないのかを考えたときに、いつでも、どこにいても、最寄りのセブン‐イレブンに頼むことができる。ここが原点なのだと認識した。

スマートフォンの保有率が80%になった今、スマホを使って約2800の商品の中から最寄りのセブン‐イレブンに即座に注文ができて、ある程度の時間内に受け取ることができれば、こんな便利なことはない。今回の取り組みスキームは、私はセブン‐イレブンの、今後さらなる成長の大きな柱として期待している」

今後はネットコンビニとミールサービスは、すみ分けをして並走させていくという。

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