「横浜カジノ」セガサミー社長が覚悟する茨道 USJ復活した森岡氏を招へい、下馬評覆せるか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――競合する外資はライセンス獲得に向け、施設の建設費などで1兆円を上回る初期投資をちらつかせています。

われわれのプロジェクトでも1兆円近くになる可能性はある。ただ、マーケティングのプロである刀のノウハウを基に試算すると、国と自治体へカジノ収益の30%を納付する義務や高い入場料が設定されるなどのルールが厳しいため、1兆円以上投資した場合、横浜IRは利益が出ないとわかった。実は「1兆円、1兆円」と言ってきた外資も思ったより儲からないと気づき、水面下でトーンダウンしている。

セガサミーホールディングスは、カジノリゾートのメッカであるラスベガスでIRを展開する大手外資企業と横浜IRの運営権を競い合う(編集部撮影)

問題は横浜IRを持続的な商業施設にできるかどうか。われわれは宮崎のフェニックス・シーガイア・リゾートの立て直しを経験したのでよくわかるが、シーガイアはド派手に投資して潰れた。これではみんなが不幸になるので意味がない。20年、30年、40年と続くような施設にできるかが肝になる。運営権の獲得競争に勝とうと、無理に投資額を積むつもりはない。

――競合する外資IR企業は時価総額で1兆円を上回るメガプレイヤーですが、勝算はどれほどあるのでしょうか。

もちろん彼らは何兆円という時価総額がついており、チャレンジングな案件ではある。ただ、今回の横浜IRでセガサミーHDが運営権を獲得できれば、足元で約4500億円の時価総額が2倍、3倍になってもおかしくない。外資のほうが資産は大きいが、実は借り入れがものすごく大きいので、財務面でもあまり心配していない。

極端な話、セガサミーHDは競合している外資のどこかと組んでもいいと思っている。それを視野に入れて外資IR企業とコミュニケーションもとっているので、うちが「譲れないところ」を向こうが譲ってくれるのであれば実現するかもしれない。

――「譲れないところ」とは?

主導権だ。例えばうちが20%とかマイノリティーでしか資本を持てず、ただの下請けみたいになるんだとしたら、やる意味がない。少なくとも対等か、それ以上の出資比率で持たせてくれれば実現の余地がある。

韓国IRで育成した運営人材で差別化

――2017年に開業し、現地合弁会社が運営している韓国のIR「パラダイスシティ」で蓄積したノウハウはどう生かしますか。

2025~2026年を見込む横浜IRの開業時には、ゼロからパラダイスシティというIRを作った経験だけでなく、カジノリゾートを実際に運営する経験が蓄積される。すでに運営ノウハウを蓄積するべく60名の社員を派遣しており、横浜IRのライセンスが取れた暁には、これをもっと増やしたり、入れ替えたりしていく。

日本でIRを外資企業が運営する際、最大の課題となるのは地元で雇用され現場に立つディーラーなどの日本人と、彼らを管理して運営を担う外国人の間で言葉が通じないことだ。これがセガサミーであれば運営層の日本人を約100名は用意できる。この点は大きな差別化要因になるはずだ。

次ページギャンブル依存症を予見するシステムも開発
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事