「横浜カジノ」セガサミー社長が覚悟する茨道 USJ復活した森岡氏を招へい、下馬評覆せるか

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―ー施設の構成や日本的な体験の重視など、競合する各社のコンセプトは似通ったものになる見込みです。セガサミーHDは独自色を出せますか。

私がやりたいと思っているのは、世界でも誇れるような日本最大級の「インキュべーション施設」の実現だ。簡単に言えばベンチャーの集約オフィスで、フランス・パリにある巨大な類似施設「ステーションF」では多くのベンチャーと大企業、そしてベンチャーキャピタリストが一緒に働き、とてもうまくいっている。

インキュベーション施設単体では大して儲からないので、ベンチャーの集約する六本木や渋谷では限られたスペースの施設しか実現していない。何千人という人員を収容できるようなインキュベーション施設は、IRだからこそ実現の可能性がある。

馬鹿にされない産業にする

―ー経済や社会への貢献によって、ギャンブル産業の社会的な地位を向上させたいという意欲があるのでしょうか。

結果的にそうなればいいだけで、目的にはしていない。よくパチンコ業界の関係者が地位を上げたいと言うが、私は「上げなかったからよかったんじゃないの?」とすら思っている。

里見治紀(さとみ・はるき)/1979年生まれ。2001年に明治学院大学国際学部を卒業後、国際証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。2004年父が創業したサミーに入社。セガのアメリカ法人で海外経験を積む。常務取締役を経て、2017年4月からセガサミーホールディングス代表取締役社長グループCOO(撮影:尾形文繁)

もしこの業界が普通の業界だったら、パチンコホールの大手はイオンやセブンーイレブン、伊藤忠商事だったかもしれないし、パチンコメーカーの大手もソニーや日立製作所、東芝だったかもしれない。こういった企業が入っていきたくなかったから、現在もわれわれがこの商売をできている。無理に社会に認められる必要はない。

ただ、旦那がパチンコ屋で働いてることを奥さんがママ友に言えず、隠さなくてはいけないという事態は起きている。われわれはパチンコやゲームのビジネスにプライドと誇りを持ち、ファンの感動体験を創造し続けてきた。IRでもそれを実現し、馬鹿にされない産業にしていきたい。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケ、コンサル、エンタメ産業などを担当。過去の担当特集は「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」「激動の出版」「パチンコ下克上」など。

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