「横浜カジノ」セガサミー社長が覚悟する茨道

USJ復活した森岡氏を招へい、下馬評覆せるか

――横浜における課題とは具体的にどういうことなのでしょうか。

横浜は大都市で人口が多い一方、企業や生産年齢人口は少ない。今後、税収が減ってしまうリスクがあり、上下水道や学校、公民館の維持・管理といった当たり前が、当たり前ではなくなってしまうかもしれない。1月に横浜市内で老朽化した水道管が破裂する事故が起きたが、まさにこういった事態への対策に取り組めるお金が横浜にはない。

これだけ市民の評判が悪い中、林文子横浜市長をはじめとした行政が覚悟を決めてIRを推進している背景には、こうした現状への危機感がある。セガサミーHDも横浜のIRをスマートシティの実験場にし、うまくいったことを横浜市全体、ひいては日本全体に広げていくぐらいのビジョンを掲げている。単にカジノを1つ作ること以上の貢献がしたい。

IR運営は2000年代からの悲願

――誘致を表明した各自治体の中から横浜に照準を定めた理由は。

2004年にセガサミーグループが誕生した当初から、(自身の父親である)里見治現会長は「いつか日本でカジノが解禁になった時は参入したい」と考えていた。その時、何でもそろっている東京よりも、横浜のほうがIR開発におけるポテンシャルが高い街だと捉えていた。横浜は人口が多く、日帰り圏内に約3000万人が住んでいる。にもかかわらず、5つ星ホテルもなければミシュランに評価されたレストランも少ない。

セガサミーホールディングスの里見治紀社長は、「カジノ誘致以前から横浜に根を下ろそうとしていた」と強調する(撮影:尾形文繁)

こうしたポテンシャルを持つ都市は全世界でも限られるため、2007年には再開発を目指してみなとみらいの土地を取得した。このプロジェクトは(中核事業へ集中するために)頓挫したが、われわれはカジノ誘致が本格化する前から横浜に根を下ろそうとしていた。今になって横浜が手を挙げたから飛びついたという話ではない。

――有力な候補地とされながら運営事業者公募への応募が1社のみに終わった大阪も、競争率の低さを含めて魅力だったのでは。

大阪のIR予定地である夢洲は繁華街から遠すぎるため、目的客しか来ない施設になってしまう。対して横浜のIR予定地である山下埠頭は繁華街から近く、中華街からも歩いていけるということで立ち寄り客が呼べる立地だ。

カジノ単体で見れば目的客が多くなるかもしれないが、全敷地の97%を占めるカジノ以外の施設を目的客だけで埋めることはできない。また、夢洲は上下水道から鉄道まで何も整備されていないので、インフラ投資が膨大になる懸念もあった。

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