推薦が減ったもう1つの理由は、ありがたみがなくなったからだ。ある土木系教授は推薦をいっさい出さない理由として、「推薦しても採用してもらえるとは限らない」と言っていた。
かつての推薦状は大変な重みを持っていた。「○○大学の××研究室から何人の学生を採れるか」は理系採用の要。推薦ならほぼ100%入社してもらえる。研究室の教官にもメリットがあった。教授の指図1つで卒業生を有力企業に送り込める。つまり、ウィンウィンの関係だったが、長びく不況が関係をむしばんでしまった。
とはいえ、いまも推薦は生きている。今回の調査によれば、1000人強の大学院生のうち50%が「自由応募」、23%が「推薦応募」、27%は「未定」だった。本調査は1月末から2月初めにかけて実施したが、「未定」の27%の多くは「自由応募」になるのだと思う。
伝統的工学分野で推薦が続く
推薦か自由か、応募方法についての専攻別の傾向を見てみよう。「推薦応募」の割合が多いのは、「機械」(53%)、「電気・電子」(35%)といった、製造業に不可欠な工学分野だ。これらの専攻では推薦制度がいまも生きているようだ。「化学」も伝統的工学分野といえるが、26%と意外と高くない。
一方、「自由応募」が多いのは、「薬学」「生物・農」で、それぞれ75%、74%と4分の3に及ぶ。次いで、比較的新しい分野が多い「その他」が53%、「情報」も51%と半数を超える。
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