では、こうした状況はいつまで続きそうなのか。工場の稼働率低迷は「少なくとも3月いっぱい影響が続く」(前出の工場マネージャー)とみられている。完成品製造工場の稼働回復がさらに遅れれば、電子部品の在庫が増えてしまい、日系部品メーカーに対する発注抑制につながる恐れもある。
そのため、電子部品各社は「2月末まで様子をみて、影響が一定程度判明するであろう3月半ばごろに、必要なら業績予想を修正する」(電子部品メーカーの役員)と話す。「3月半ば以降に、(業績予想の)下方修正ラッシュが起きるかもしれない」(スマホカメラ部品メーカー幹部)という。
電子部品各社に漂う意外な「楽観論」
ただ、意外なことに、電子部品各社の間には楽観論が漂う。というのも、2020年の半ば以降には5G通信機器関連の需要が一段と拡大すると予想されているからだ。村田製作所は2月上旬に開催された決算説明会で、同社が生産するコンデンサーのうち10%強が5G通信基地局など向けになっていると説明。2019年10~12月期は前四半期比で数量が1.5倍増となっており、「四半期を追うごとに上がってきている状況」と述べた。
「コロナウイルスによる生産調整の影響が6月まで出たとしても、5G基地局などの通信インフラや2020年秋に投入が見込まれるアップルの5Gスマホなどの需要もあり、通期での売り上げは減少しないだろう」(前出の部品メーカー役員)。新型肺炎の影響で一時的に需要が落ち込んでも、その後のタイミングで落ちた分の需要が「反動増」となって返ってくるとの見立てだ。
2月17日のアップルショック後に値下がりした電子部品各社の株価も、会社によってまちまちだが、買い戻されて、「アップルショック」はなかったことになりつつある。新型肺炎で業績が悪化しても、それが一時的なものであると受け止められれば、電子部品メーカーに対する不安は杞憂(きゆう)に終わるかもしれない。
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